ホーム | 日系社会ニュース | 日本ブラジル交流協会=青年派遣を一時凍結=制度見直しへ=関係者に動揺

日本ブラジル交流協会=青年派遣を一時凍結=制度見直しへ=関係者に動揺

6月16日(木)

 今年二十五周年を迎え、計七百四十八人もの青年を日本から送ってきた日本ブラジル交流協会(玉井義臣会長)が、先日ホームページ(www.nippaku.or.jp)上に第二十六期生募集中止のお知らせを突然掲載し、関係者に動揺が広がっている。ここ数年来、四十人規模だったが今年は節目の年であるため、第二十五期生は四月に四十八人も来伯、全伯の研修先に散らばっている。二十日に東京で行われる総会で正式決定される見込みで、ブラジル側としては「存続に向け、前向きな協議をしていきたい」としている。
 「私どもも、えっという感じでした」。同協会のブラジル側団体、ブラジル日本交流協会(山内淳会長)の藤本明司事務局長は当惑の表情を浮かべた。
 ブラジル側では、五月下旬に来年度の派遣は二十人体制でと提案をしていた。「本来の教育事業という理想からすれば、四十人規模では目が行き渡らない恐れがある。それに若い人の負担を軽減した方向で行ければと考えています。それなら人数を減らし二十人規模で運営を」という提案だ。
 同協会は研修生の払う参加費九十万円で運営されており、人数を減らすことは収入減に直結する。日伯両側でコスト削減を図り、参加費以外の収入の道を探るなどの方向性を提言した。以前のバブル期には企業寄付も多かったが、現在はほとんど集まらないようだ。
 それに対し、今回、日本側はサイト上に「第二十六期研修生募集中止のお知らせ」を掲載。中止理由として「毎年、四十人前後の研修生を送り出していましたが、少人数になると本制度の仕組み等を抜本的に見直す必要があります。そこでブラジル側とも今後時間をかけての協議が必要となり、当面二十六期生募集事業は一端凍結せざるを得ないこととなりました」と説明している。
 すでに例年通り、募集は開始された後だったことから、別の交流制度を運営する協会に問い合わせが集中するなど、一部で動揺が広がっている。
 続けて同サイト上では、「本件に関し公式には、六月下旬に行われる当協会理事会、総会において当面の措置および今後の進め方などを最終的に決定することとなります」としている。文書の最後には「みなさまにたいへんご迷惑をお掛けして、誠に申し訳なく、深く深くお詫び申し上げます。ご理解のほどよろしくお願いいたします」と謝罪している。
 この発表に関してブラジル側は寝耳に水だった。十四日に理事や運営委員らと懇談会を開いた。「我々としては事業継続の姿勢は崩さない」とし、藤本事務局長は「どういう経緯でそうなったのかを現在問い合わせています」という。
 「現在研修中の二十五期生には関係のないことです。従来通り最後までケアをしていきます。今回のことも、前向きな方向で考えています」。二十五年間も続いてきた伝統ある制度であり、派遣先企業・団体にも関係するだけに、正式決定されれば動揺は避けられない。一度中止されたら、復活させるのはもっと難しいとの意見もある。
 ブラジル側引き受け責任団体でもあるブラジル日本文化協会の吉岡黎明副会長は「団体運営の難しさは分からないが、ちょっと惜しいと思う」と語った。
 五月二十六日のルーラ大統領訪日時の首脳会談では「文化・教育交流に関する覚書」が交わされた。そこには、「文化、教育・学術及び青年・スポーツの分野における交流と協力を一層促進させるために両国が共に取り組んでいくことを確認し、(中略)次の基本的方向に沿って両国が文化交流を促進させていくべきであるとの認識で一致した」との合意が明文化され、青年交流に関しても機運が高まったばかり。
 交流協会を長年支援し続けてきたポンペイアの西村農工学校の西村俊治校長は「中止の報に驚いています。第一回より引き受けていますが、実に立派な人格者ばかり。二十五年経った今でも、私の訪日の折にはみなが集まってくれ会食するのを楽しみにしています。日本でもブラジルでもこのOBの方達立派に成功されて居ります。中止の報は大変残念に思います。できれば数を減らして(厳選)でも何とか継続してほしいと念願するものです」と語った。

image_print

こちらの記事もどうぞ