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絢爛=日本芸能に喝采=パラナ州=民俗芸能祭で存在感

7月13日(水)

 【クリチーバ発】パラナ民族交流協会(AINTEPAR)主催で同州文化局共催の第四十四回パラナ民俗芸能祭に、地元日系コロニアを代表してクリチーバ日伯文化援護協会(山脇譲二会長)が参加し、十日午後四時から州立グアイラー劇場で踊りなどを披露、来場者ら約千百人は喝采を送った。十五年間、同文協舞踊部を指導してきた花柳龍千多さんは「だいぶ舞台慣れし、リラックスした感じで踊っている」と賞賛した。
 パラナ州では州条例で民俗芸能祭を行うことが定められており、今年も十一民族系から十九団体が参加し、一日から十三日まで行われている。イタリア系が最も多く五団体、ウクライナ系やドイツ系、ポーランド系の二団体に加え、日系も第一回から欠かさず参加している。
 前日、同文協会館で行われた最後の通し稽古で出演者の一人、荻津節子さん(80、福島県)は「最初から龍千多先生に習っています。毎年大舞台に出られることが励みなんです」と意気込んだ。毎週二回、三時間半から四時間も日本舞踊を練習している。
 主催団体との交渉も代表する演者の一人、久保毬さん(まり、三世)は「これが終わったら、もう来年が楽しみ」と笑いつつ、「でも家事とお稽古の両立は大変です」と語った。
 十日午後四時からの本番は二千二百人収容の、同市有数の大劇場。出演者約百人と裏方五十人は午前中から準備に入った。昨年並みの千百人が来場し、分厚い緞帳が開くと、若木色の着物に赤黒の帯をつけた門下生ら十人が「江戸の四季」を艶やかに舞って公演を開始した。
 ニプソン楽団と若手三味線グループの競演で「浪花節だよ人生は」の熱唱、勇壮な「大漁 唄い込み」など八演目で前半を閉じた。
 後半では、十七歳までの若者十三人による威勢のいい若葉太鼓の「古道・哀楽」、着物姿の少女たちによる可愛らしい「雨降りお月さん」に続き、丹下セツ子さんと龍千多さんは円熟の「じょんがら女節」を見せた。あかべこ太鼓、若葉ソーランの後、総出演で「さのさのさ」を披露し、豪華に幕を閉じた。
 八年間、友情出演を続ける丹下さんは「みんな、すごくきれいになったし踊りも上手くなった」と上達振りに太鼓判を押す。同文協の大嶋裕一副会長は「舞台は打ち合せ通り上手く行ったので良かった」とホッとした様子。
 最前列で食い入るように見ていた日本語学校校長の西井良雄さん(87)は「感激しました」との感想。レオナルド・アダイメさん(24)も「和太鼓やYOSAKOIソーランが力強くて良かった。セニョーラたちも大変美しかった」と初めて感動の舞台に、興奮冷めやらぬ口調で語った。妻が日系人のセルジオ・ヌーネスさん(46)は「何回も日本の踊りは見ているが今回は特に良かった」という。
 文協の久保修さんも「いろんな民族系の子孫とも、仲良くできるのはこのような催しのおかげ」と民族の祭典の意義を述べた。

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