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介護は相手の立場に立って=救済会・あけぼのホーム=「てびき」出版で研修会=2百人が聴講と体験学習=「むやみに手伝わないで」

ニッケイ新聞 2009年6月3日付け

 あけぼのホーム(家入学ハミルトンホーム長)と社会福祉法人救済会「憩の園」(吉岡黎明会長)は、「介護のてびき」の出版を記念して、『介護研修会』を五月三十日午前九時からリベルダーデの宮城県人会館で開催し、約二百人の介護従事者や専門家らが真剣なようすで耳を傾けた。

 同書は、JICAシニアボランティアの森林たづこさん(53、青森)と同青年ボランティアの高井奈穂さん(33、兵庫)がまとめ、JICA(国際協力機構)聖支所が今年三月に発行したもの。講演を主とした研修会では、同書に沿って介護技術・知識などを学んだ。
 「介護というのは一人ひとりの状態を把握して、その人のできることを生かし、足りないところを手助けすること」。始めに、あけぼのホームで介護福祉士として働いている高井さんが、介護の基本を説明した。
 アルツハイマーで排泄に問題のある七十五歳の女性の場合をあげ、例えば「トイレ以外の場所で排泄するのは、もしかしたら場所がわからないのかもしれない」「濡れた洋服を隠してしまうのは、恥ずかしいからかもしれない」と説明。
 解決方法として、二時間に一度トイレに連れてゆく。場所を分かりやすく表示。トイレ内の環境を排泄しやすいように整える、など具体例を出した。
 高井さんは、時間がないから手伝ってしまうのは、その人のできる力を失わせていると警告する。「むやみにオムツなどを使わず、自分でできることはやってもらう」とし、その上で大切なことは、介護を受ける人の声にならない訴えを聞き取り、その人が何ができるのかを把握することだと強調した。
 続いて、憩の園で高齢者介護をしている森林さんが、会場の参加者数人を舞台に呼び、目・耳・腕に障害を持つ人にどのように水を飲ませるのが一番良いか、体験学習を行った。
 目隠しをした体験者に、体を触らずいきなりコップを口につける方法、顔だけ触って水を飲ませる方法、コップにその人の手を添えさせて飲ませる方法の三つを行うと、三番目の方法が一番安心感を与えることが分かった。
 森林さんは、「このように相手の立場に立って介護を考えることはとても大切。私たちは普段、五感を通して脳の出す命令によって体を動かすことができるが、そのメカニズムを考えてみることが、思いやりに繋がる」とまとめた。
 そのほか嚥下体操、口内衛生、高齢者に多い病気について、憩の園の嘱託医らによる説明なども行われた。

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