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海外「のど自慢」予定なし=NHK=パラグアイの要望実らず=移民100周年=サンパウロ市開催も見送りか

2005年8月26日(金)

 七十周年に「のど自慢」を――。来年移住七十周年を迎えるパラグアイの日系団体関係者が「NHK海外のど自慢」の開催を要望していたが見送りになっていたことがこのほど本紙の調べで明らかになった。NHKは財政健全化の一環として、〇六年以降の海外公演を見合わせる方向で検討を進めており、パラグアイもその影響を受けた格好だ。一方、NHKは否定しているが、見送りの背景には、移民百周年に合わせたサンパウロでの開催が念頭にあったとも言われている。同協会によれば、来年以降「海外のど自慢」の開催は予定していないという。
 「NHK海外のど自慢」は九八年にサンパウロで開催されて以来、現在までに世界十都市で行われてきた。今年六月には韓国・ソウルで実施したほか、十月にはメキシコでの開催が予定されている。
 パラグアイ日本人会連合会が、移住七十周年を記念した同地での「のど自慢」開催を要望したのは昨年一月。事務局長が訪日した際、東京のNHK本社を訪れ要望書を手渡した。先方も興味を示し、実現に向けて順調に進むかに思われた。
 その後、NHKを訪れた大使館関係者から「(開催は)難しいかもしれない」との印象を伝えられた。その理由として、ブラジル日本移民百周年に合わせ、〇八年にサンパウロでの開催を検討していることがあったという。
 アニェンビー会議場に四千人を集めた九八年の「のど自慢・イン・サンパウロ」から十年。もし〇八年の開催が実現すれば、百周年に花を添える企画となるところだった。
 ところがその後、一連の不祥事発覚、海老沢勝二会長(当時)の退任など、周囲の状況が変化した。現在、経営改善を進める同協会は、「のど自慢」の海外公演を中止する方向に傾きつつあるようだ。
 本紙の取材に対し、NHK広報局はFAXで回答。「NHKとしましては『海外のど自慢』が一定の成果を挙げて、その役割を終えたと判断していますことや、現在、財政の健全化を最優先課題として取り組んでおりますため、二〇〇六年以降については『海外のど自慢』の開催を予定しておりません」と答えた。
 〇八年のサンパウロでの開催についても、「実施計画はございません」と回答している。
 パラグアイの連合会には先日、先方から正式な文書が届いた。「熱意のこもった依頼に感謝します」という言葉とともに、本紙への回答と同様の内容で開催見送りを伝えている。
 パラグアイ日本人会連合会の小田俊春会長は「期待していましたからね」と、やや残念そうな様子。パラグアイ側では、過去に「のど自慢」を開催したアルゼンチンの関係者から話を聞くなどして、受け入れの検討を進めていた。
 今年七月十二日に開かれたNHKの第九百九十九回経営委員会で、出席委員はNHK役員に対し次のように述べている。「『のど自慢』は、海外でも大変好評であり、NHKの評価も高まっていると聞きます。(中略)国際交流の観点からも非常に有効であり、費用はかかると思いますが、できる限り継続していただきたいと思います」。
 「のど自慢・イン・パラグアイ」。開催見送りが惜しまれるところだ。

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