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「自分の心に正直に」=斎藤空軍中将近況語る

2005年9月9日(金)

 【ブラジリア発】二〇〇三年に日系では二人目となる空軍中将(Tenente-Brigadeiro-do-Ar=大将クラス)に就任した斎藤準一氏。現在、航空支援部隊司令官(CONGAR)として多忙な日々を送っている。操縦経験六千時間。六十三歳の今も自ら操縦桿を握るという斎藤中将に近況を聞いた。
 サンパウロ州ポンペイア出身の斎藤中将が空軍に入隊したのは一九六〇年。若い頃には東山銀行(東京三菱銀行・ド・ブラジルの前身)で働いていたこともあるという。
 「(入隊の)動機はそんなに立派なものじゃありませんでしたよ」と語る斎藤中将。「姉の友達の田中という人が空軍の制服を着て家に遊びに来たのを見て、制服姿が格好いいと思った」とそのきっかけを振り返る。
 入隊後、六五年に士官候補生に選ばれ、まもなく少尉に昇進。以後、中尉から大尉、少佐と順調に軍歴を重ね、九五年に准将、九九年から少将をつとめた。
 その一方で空軍の武官としてイギリス、スウェーデンのブラジル大使館などに勤めるなど、様々な要職を歴任している。そして〇三年、晴れて中将に抜擢された。
 現在、斎藤中将が司令官をつとめる航空支援部隊は、配下二万五千人。その任務は、ブラジル国内七つの航空方面隊への物資補給や空軍関連産業の育成、アマゾン空域のパトロールまで多岐にわたる。
 「それほど潤沢でもない予算の中でやることですから困難は伴いますが、日々最善を尽くすよう努力しています」と現況を語る。
 これまでの飛行時間は六千時間。パラグアイ空軍からの名誉パイロット章(Honoris Causa)など、多くの勲章も受章してきた。現在も「忘れないように」と操縦桿を握っているという。
 モットーを尋ねると「〝自分の心に正直に〟といつも自分に言い聞かせています」と答えた。
 多忙な日々を送る斎藤中将。司令官としての厳しい顔も、任務を離れれば五人の孫に囲まれる「おじいちゃん」の顔に変わる。「孫はいいものですよ」と笑顔を見せた。(尼崎道雄ブラジリア支局長)

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