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友好病院=院長選び=「日本語能力」にこだわらず=長期展望を描ける人=すんなり決まるまい=外部から求める可能性も

2005年9月17日(土)

 日伯友好病院の大久保拓司院長が十一月に七十歳を迎えて定年退職するのに伴い、運営団体のサンパウロ日伯援護協会(酒井清一会長)は後任選びに入った。年間予算一億千七百三十万九千レアルを計上、職員数約千四百人を抱える医療機関だけに、人選の行方が注目される。十五日の定例役員会で(1)事業に長期的なビジョンが持てる(2)リーダーシップを備えている──など「院長の五項目の条件」が発表された。これらの条件を満たす人材がいなければ、外部から院長を迎えることもあり得るという。
 後任を選考するための専門委員会は会長、副会長ら八人で構成され、第一回目の会合を今月八日に持った。院長は次が四代目になる。一九八八年の開院以来、事業規模は拡大を続け、援協予算の九割以上を占めることから選考プロセスに慎重を重ねる考え。
 まず理想の院長像を検討。委員などから十人ほどを推薦してもらい、人材を絞り込んでいく。
 初会合では(1)事業に対する長期的なビジョンを持ち、方針・対策を立てることできる(2)リーダーシップを備えている(3)適切な判断と決断力、行動力がある(4)援協の事業を理解し、援協の方針を尊重する(5)病院の代表として社会との関係を保てる──と五項目の条件が提示された。
 具体的な氏名はまだ、挙がっていない。「経営感覚に優れていることも必要で、内部で見つからない時には、外部から呼ぶこともあり得る。無理に医者じゃなくても構わない」(関係者談)。
 「日系人の医師により、日本語で診察を受けられる病院」。友好病院の理念からすれば、条件に「日本語能力」が入っていないことが気にかかる。
 和井武一経営審議会会長(名誉会長)は「もちろん、日本語が話せるのにこしたことはないけど、堪能でなくてもよいのではないか」と説明。ブラジル人社会に対するPRを狙っている模様だ。実際に診察現場に立つわけでないので、日本語だけにこだわる必要がないとも考えている。
 ただ、非日系人を院長に据えることは念頭にない。「そこまではちょっと……」(同会長)。医師長を始め技術部長、各診療科の責任者などに日系人の名がずらりと並んでいる。すんなり決まるとは、限らなそうだ。

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