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また出稼ぎ狙いの強盗=早朝侵入「殺すぞ」=留守家族からドル強奪=顔見知りの犯行濃厚=モジ市

2005年9月27日(火)

 二十三日早朝、モジ・ダス・クルーゼス市ジャルジン・ウニベルソ区のマリア・エステーラ・サントス・タテイシさん(53)宅に刃物を持った三人組の強盗が押し入り、現金二千ドルのほか宝石や家財道具を奪って逃走した。事件当日は二十一歳の息子と四歳の孫が在宅。犯人に縛られた際に息子が軽傷を負ったほか、被害者はなかった。タテイシさんの主人は現在日本で暮らしており、最近までブラジルに戻っていた。息子も今年五月まで日本にいたことから、警察ではデカセギの金をねらった強盗事件と見て捜査を進めている。
 地元紙モジ・ニュースの報道によると、事件が発生したのは二十三日午前七時四十分。三人組はタテイシさん宅の塀を乗り越え、開いていた窓から侵入した。
 三人組は家内にいたマリアさんを脅して金を要求。その後、息子のエリック・マサユキさん(21)の部屋へ。就寝中のエリックさんの顔を枕に押し付け、顔を見ないように命じたという。その後、電気コードでエリックさんを後ろ手に縛り上げた。
 犯人たちはマリアさんの腕を引き回し、大声で叫びながら殺すと脅し、執拗に金を要求した。金目のものを物色した後、犯人の一人が家内にアルコールをまき、火をつけると脅したという。
 当日、家には四歳の孫がいたが、無事だった。
 強盗団は現金二千ドル、宝石、電化製品のほか、エリックさんの洋服などを一家のコルサ車に詰め込み、立ち去った。車は知らせを受けた軍警察により市内で発見された。警察の調べによれば、犯人たちは車を乗り捨てた後、ワインレッドのゴル車に乗り換え逃走したという。
 マリアさんの主人は現在日本で暮らしており、最近までブラジルに一時帰国していた。学生のエリックさんも今年五月まで日本に滞在。帰国後、八日前から自宅にいた。
 マリアさんは、家族が日本に住んでいること、息子が数日前から家にいることは誰も知らないはずだと語っているが、警察ではエリックさんたちが日本から戻ったことを知っている者の犯行とみて捜査を進めている。
 模倣犯、増加も公館で対策を検討へ
 デカセギを狙った強盗事件は以前から頻発している。しかし多くの場合、報復を恐れて届け出ないため、これまで表面に出てくることは少なかった。
 今月サンパウロ市で起きた米倉貞さん一家殺害事件以来、ブラジルのマスコミが「デカセギ」を取り上げる機会が目立ってきた。
 今回の手口にも見られるように、今後米倉さんの事件を模倣する強盗事件が増える可能性もある。
 金は銀行で送金する、帰国の情報が伝わらないようにするなど、これまで以上の注意が必要になってくると思われる。
 米倉さんの事件のように、在留邦人が被害者になることもある。サンパウロ総領事館でもこうした状況に憂慮を示した。
 同館では現在、ブラジリアの大使館などと対策を検討しているという。

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