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「ハルとナツ」本も発売=放映に先立ち、関心呼ぶ

2005年9月28日(水)

 【東京支社】NHK放送八十周年記念大型ドラマ「ハルとナツ―届かなかった手紙―」が十月二日からNHK総合テレビで、五夜連続で放映される。
 その予告編では、一足先に試写を見た日伯両国の視聴者たちの感想の声も流され、ドラマへの関心は日増しに高まっている。
 放映に先立ち、NHK出版から同題の単行本(定価1600円+税)も発売された。
 放送台本をもとに、三三一ページの紙面で構成された作品で、表紙は故半田知雄さんが描いたコーヒーの実の収穫の絵が使われている。
 〈東京の高級住宅地の一角を、小柄な老齢の女性とスラリとした身体の若者が、ゆっくりと歩いていく〉という一節から作品は始まる。
 第一章「届かなかった手紙」、第二章「出会いと別れ」、第三章「新天地へ」、第四章「日本人の誇り」、第五章「そして、ブラジルへ」の五章立てで構成。
 戦前、故郷を離れ、海を渡っていったブラジル移民の足跡と、その移民たちが大事にしてきた日本人の魂と文化を通し、豊かな経済を目指し走り続けた戦後日本が失っていったものの大きさを浮き彫りにしていく。なかでも、家族の絆を失っていく日本の姿がくっきりと浮かびあがる。
 作者の橋田壽賀子は現地取材をしてないというが、膨大なブラジル関連書籍や資料を読み込み、同じ日本で生を受けながら、異なる環境で生きる人間の価値観の変化を巧みに描いた。
 どちらが本来の日本人の魂・文化を保持しているか? その答えは明白である。
 まだドラマは放映されていないが、作者の胸の内を、書籍を通して読み込み、受け止めることも有意義なことだと思う。(藤)。
     ◎
 ブラジルでの放映は十月二日―同六日の午前九時から。再放送は十月七日に第一回分を放映後、十四、二十一、二十八、十一月四日と一週間置きに予定(いずれも午後十時十分から)。
 同書は日本で二十七日に発売。日本の発売日に合わせブラジルでも、ブラジル日本移民史料館のほか、高野書店、太陽堂の各店で販売している。九十レアル。

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