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大耳小耳

2005年9月29日(木)

 大使として四十六年ぶりに古里日本へ帰国した田岡功氏。天皇陛下に信任状を奉呈することで〃特命全権大使〃となった。陛下との時間は約五分。七八年に訪パされた際、訪れたイグアス移住地の思い出などに触れ、「移住者の方は元気ですか」と聞かれたという。拝謁の前、お辞儀する際の陛下との距離、握手の作法など約束ごとを言い渡された。退室時間の合図は「また、お会いする機会がありますね」という陛下の言葉。
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 大使館では、各国来賓を招いてのパーティーや食事会もある。お抱えの料理人がいると思いきや、料理は奥さん三千代さんの担当。移住地でも来客が多かった田岡家。大人数でも対応できる食材を揃えているというから、まさに内助の功。パラグアイ大使の月給は、大統領の約三倍と国内でトップクラス。「日本でも他の国でも大使の給料は同じ。東京じゃいくらも残りませんよ」
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 既報のように『ハルとナツ』放映を前に同題の本がNHK出版から発行されている。こちらは小説仕立て。ナツが家族から北海道に取り残されて、義理の伯母に口汚くののしられるあたりは、あの『おしん』を彷彿させる。「橋田壽賀子節」がサエるところだ。三百三十一ページを一気に読ませる。ナツが戦後、駐留日系米軍将校に好意を示されるところは、沖縄戦後、米兵が民間人に対処した事実(の一部)と符号して、うなずかせる。

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