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ノロエステの日本語教師ら=上聖して教授法を学ぶ=12校32人〃区域外〃研修=日語セで「実り」を確信

2005年10月1日(土)

 【ミランドポリス】九月二十二日午後十時、ノロエステ日本語普及会(末永建郎会長)はじめ十二校、三十二名の教師役員らが二泊三日の研修旅行に出発した。昨年は、パラナ州で五十年を経て発展を遂げているドイツ人コロニア「エントレ・リオス」を訪ね、初めて日系以外の施設見学と文化交流が図られたが、今年はサンパウロのブラジル日本語センターにおける一日研修が企画実施された。
 研修は、二十三日、予定通り午前九時開会、日本語センターの佐藤吉洸副理事、ノロエステ普及会の末永建郎会長らがあいさつしたあと、さっそく始まった。
 最初に、その指導に定評のある、第三アリアンサ富山県日本語学校の島田裕次郎教師(県派遣)による独特な発声法や呼吸法を使っての音楽指導実習があり、リラックスした雰囲気の中に進められていった。引き続いてセンター所属の松尾眞名子講師による、「初級後半から中級前半向け」の文型指導法の実習が行われた。軽音楽の歌詞を例にとって継続動詞、状態動詞、瞬間動詞など細かな分析とそれらを使い分けての指導という、普段あまり意識せずに行っている授業への指摘や助言があった。
 午後は再び島田教師による唱歌「もみじ」の二部合唱指導があり、十五分というわずかな時間内ではあったが、受講生徒は皆教師、数回の練習で見事なハーモニーの仕上りとなった。
 その後はやはり同センターの鶴田広子講師の低学年を対象とした「日本で文字を学習すること」と「ブラジルで文字を学習すること」、あるいはゲームなどを使った「効果的な教え方」、フラッシュカードによる「ひらがな、カタカナ記憶法」などが分かり易い資料を基に様々な例を挙げて丁寧な講義が行われた。
 別室では同時進行で、小松雹玄前JICAサンパウロ所長による「日本語教育の将来と学校運営を考える」と題した懇談会や、百年祭に向けて計画されつつある企画の説明会が日語校役員を対象に行われていた。
 今回の日本語センターでの研修には、教育実習の他にもう一つ大きな目的があった。それは、日本語普及の「総本山」とも言うべきセンターの存在自体は皆よく知っているものの、奥地の日語教師達には直接訪ねたことのない人達も多く、したがってその詳しい活動内容も把握されていないという実情から、是非ともこの機会にセンターに対する理解を深めて欲しいという末長会長の意図であった。
 研修の締めくくりとして丹羽義和センター事務局長から、きめ細かな事業紹介や数値データによる活動実績報告などがなされ、その普及に対する意気込みと併せて経営の困難さなどを知らされ、参加者それぞれがセンターに対する理解と認識を新たにさせられた。
 わずか一日という短い時間ではあったが、閉会予定時間を大幅に超えての実に充実した研修であった。終了後、夕食を囲みつつ講師と教師の間では熱心なやりとりが続けられていた。
 午後八時、センターを辞してイタニャエンに向かい一泊。翌朝、船によるイタニャエン川下りでのんびりした余暇を過ごし、二十四日午後二時帰途についた。

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