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「園児の笑顔は天使のようだ」=希望の家=創立35周年=協力者に感謝捧げる

2005年10月11日(火)

 重度の知的障害者の世話などする日系福祉施設、希望の家福祉協会(木多喜八郎理事長)の創立三十五周年記念式典が七日午後六時半から文協大講堂で行われた。影となり日なたとなり様々な面で同施設に協力をしているたくさんの関係者を招き、協会から感謝のことばが贈られた。と同時に、各日系団体代表者を始め、日本からは聖隷学園から長谷川了理事長、堀口路加事務局長が参加。そのほか関係者が多数会場に訪れ、祝辞を述べた。
 関係者ら約五百人が慶祝に訪れ、当日は記念出版された創立者・市川幸子さん(一九二七―二〇〇一)の生涯を綴ったポ語の本『希望の道』も販売開始された。
 木多会長は「幸子先生は亡くなる少し前まで、常に目を輝かせて希望の家の未来について語っていた。二〇〇一年に亡くなったが、彼女の夢を叶えるために協力して下さっている皆様。ありがとうございます」と挨拶。「園児たちには少しでも長くいい人生を希望の家で過ごして欲しい」と述べた。
 「できるだけの手をつくし、みなに人間として生きて欲しい」と話したのは酒井清一サンパウロ日伯援護協会会長。上原幸啓文協会長は「さまざまな問題を解決すべく三十五年間闘ってきた同協会の献身さで、次の三十五年にも進んで欲しい」と期待を示し、「幸子先生は心の広い方だった。現在の希望の家を見て『よかった』と思っておられることでしょう」と話した。
 丸橋次郎首席領事、野村アウレリオサンパウロ市議、ジョゼ・セーハサンパウロ市長代理の小林セルジオサンパウロ市広報局長も参加。野村市議は「砂の上につくられた家はすぐに潰れるが、愛と献身でつくられた家はつぶれない。それが希望の家だ」と延べ、木多理事長に記念表彰状を贈呈した。
 また、市川氏の長年の友人である西村農工学校の西村俊治さんをはじめとする協力者に感謝状が贈られた。木多会長からサンパウロ州政府の表彰状と勲章が、資金的な面でも多大な協力をしている聖隷グループを代表して長谷川聖隷学園理事長に手渡された。
 聖隷グループは日本で病院や保育園、高齢者施設、知的障害者施設などの福祉施設や教育施設など静岡県浜松市を中心に全国百以上の施設を経営している。同グループの理事長を務めていた長谷川理事長の父、故・保氏が訪日していた市川氏と出会い、ブラジルまで希望の家を見学しに来たことがきっかけで協定を結ぶことになった。
 その後、亡くなった保氏のお墓を訪ねたいと市川氏が日本まで訪ねたこともあったそう。長谷川理事長は「ここの園児たちの笑顔に感動した。天使のようだ。ここで働く人もみな園児らを大切にしていることがわかった」。
 最後には、園児たちが鈴などを使って「上を向いて歩こう」や「さくらさくら」などの療育音楽で習った曲を披露した。

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