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コラム 樹海

 昔から「薬九層倍」と云い、薬というものは儲かるものらしい。食あたりや腹下しには征露丸に決めている人もいれば、最新薬でなければ納得しない御仁もいる。と、人それぞれなのだが、命に拘る病気となると誰しもが真剣になるし、やれ何処に名医がいるの特効薬はどうのと騒ぎが大きくなる。難病になればなるほどに大騒動になるのが世の常である▼根治が難しい病気の一つには癌がある。医学は進歩しているし、治癒率も高くなってはいるのだが、まだ完璧ではない。こんな難病を狙った悪徳商法が罷り通っている。ブラジルで見つかった茸・アガリクスを誇大に宣伝し売りつける。ガンが治ったという架空の体験談を掲載した本を出版し「効く」と書き連ねては騙す▼本には医学博士と名誉教授が監修とあるから読者は信用する。だが―である。この名誉教授は「名前を貸しただけで本の内容は見ていない」と語ったそうである。無責任もはなはだしい。こんなインチキで健康食品業者は20億円超を稼ぐ。凄腕と申すしかない。日本の国立研究所も、あの茸がガンに効くのを否定してはいるけれども、それでも、被害は広がる▼100人に一人、あるいは万人に二人位に効果があるのかもしれない。けれども、科学的な根拠はないのが現状であり、もしも本当に治癒効果が高いのであれば、世界の医者が真っ先に使うし、世界は「ガンから解放」と大喜びする。ちなみに―。あの医博である師岡孝次・東海大学名誉教授を警視庁は書類送検したと時事通信は報じている。  (遯)

05/10/11

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