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ハルナツ=盗作疑惑=冷静な意見が目立つ=サンパウロ市で「酷似」作品を上映

2005年10月14日(金)

 コロニアのみんなに判断して欲しい――。NHKドラマ「ハルとナツ」の設定が自作品と酷似していると主張、NHKに質問状を送っているブラジル在住の記録映像作家、岡村淳さんが十一日午後四時から、ヴィラ・マリアーナ区の栃木県人会で上映会を行った。会場には報道関係者も含めた約八十人が来場、質疑応答を行った。
 上映されたのは岡村さんが九五年に撮影し、翌年に東京MXテレビで放送された「六十年目の東京物語~ブラジル移民女性の里帰り~」。
 この作品は森下妙子さん(当時八十歳)が「海外日系人訪問団」の招待により、六十年ぶりに日本に里帰りした際、岡村さんが密着取材したもの。
 実姉との再会や亡き養母の行方探しに奔走する森下さんを追い、〃往時の面影がなくなった〃東京で迷子になったり、コロニア語で道を聞くシーンには来場者から笑いも起きた。
 壇上に上がった岡村さんはNHKに出した質問状の内容や経緯を説明。
 「『重なる部分は全くない』といわれては黙っていられない」とし、その後の森下さんの消息や取材での裏話を語った。
 報道関係者からの「法的措置も辞さないのか」との質問に、「そういう労力は使いたくはない。二回目の質問状にNHKが答えるのか皆に見てもらいたいし、これからもおかしいと思ったことには、声を上げていきたい」と答えた。
 出席した男性の一人から「NHKと岡村さんにとっては大きな問題かも知れないが、ブラジル移民のイメージを壊さないためにも穏便に事を進めてもらいたい」との意見が出された。
 来場者のなかには、「ハルとナツ」を見た人、見てていない人がいるが、概して冷静な意見が多かった。
 「(姉妹が生き別れになるという話は)移民で来た人にはたくさんあると思う」(女性、四十代、二世)
 「ドキュメンタリーとドラマは別物だけど、参考にしていないとは言えない」(男性、七十代)
 「確かに似ている。資料として見たなら、NHK側の配慮が足りないのでは。おごりを感じる」(男性、七十代)
 「古い人はコーヒーやって、戦争があって苦労してきた。真似とかじゃなくて、みんなそうだった」(男性、六十代)
 「岡村さんが一人で何カ月もかけて作ったものをNHKも見たなら、一言いうべき」(女性、七十代)
 「その人の見方、考えた方があるから結論は出せないのでは。盗作? させとけばいい。騒ぎ立てることでもない」(女性、六十代)
 岡村さんは「自分がやるべきことはやっていきたいし、うやむやには出来ない。今日は見るべき人に見てもらったという感じがする。これからも敷居の低い形で作品を伝えていきたい」と手応えを話した。

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