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福祉に捧げた一生綴る=市川幸子さんの本出版

2005年10月15日(土)

 「市川先生はいつも愛を持って人と接していた」。希望の家福祉協会(木多喜八郎理事長)創立三十五周年記念に伴い、創立者・市川幸子さんの一生を綴った『Os caminhos da esperanca』が出版された。著者は二世の林田イサオさん。全てポ語で書き上げた。
 林田さんは同会理事補佐を務める傍ら三カ月に一回発行される機関紙の編集もする。〇二年には木多理事長と同会に協力している聖隷学園に訪問した。その頃から同本の出版を計画し、約一年かけて執筆した。
 市川さんが信心に目覚めたのは、戦後兄弟が次々と肺結核を患った時から。「神は自分の心にいる」と、無教会を説いた内村鑑三に共鳴した。この信心を通して「一生福祉の道へ進む」ことを決意。その後、アメリカで福祉を学んだ川田貞次郎が経営した藤倉学園で四年間働いた。
 ブラジル行きを決意したのは、「こどものその」の創立者である長谷川良信さんが日本で「知的障害者のための施設をブラジルで建設したい」と呼びかけていたことがきっかけ。そこで四年間働き、そのあと希望の家を設立した。
 林田さんは「非常に価値のある仕事をしたと思う」と話し、「たくさんの人に希望の家を知ってもらい、市川先生が考えていたことを知ってもらいたい」と期待を示した。

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