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議長会来伯団の行動、一部マスコミが批判=日伯交流に悪影響も=日系団体トップら〃大げさ〃報道に困惑=「だれも怒ってないのに」

2005年11月17日(木)

 本当になおざりだったのか――。七日に文協で行われた全国議長会二〇〇五年南米地方行政視察団(黒川治団長=滋賀県議)と日系諸団体との意見交換会に関して、十一日付けのサンパウロ新聞が「県民が泣くお粗末な県議さま」という記事を出したのを受け、日本マスコミの一部が同様の批判的論調の報道を続々としている。秋田魁新報も「南米視察団が意見交換なおざり/現地邦字紙報道」などの見出しで記事にするなど大きな波紋を呼んでいる模様。これに対し、世話役となった県連の中沢宏一会長は「実際はだれも怒っていなかったですよ」と語り、他の出席者らも困惑している。
 日本の批判記事には「世界最大のサンパウロ日系社会で大ひんしゅくを買っている」などと報じるものまであった。十六日には日本のテレビ局二社もサンパウロ市で取材に動くなど、過熱する勢いだ。
 同使節団は六県の十四県議からなり、全国議長会随行職員一人を合わせて計十五人だった。南米各地の地方行政を視察する一環として、サンパウロ市に立ち寄り、七日に日系諸団体(十二団体・機関)との意見交換会をもった。当初は午後二時に開始する予定だったが、特に連絡もなく、到着したのは午後三時。三時間行うはずだったが、視察団側からの要請で午後四時までの一時間に短縮された。
 サ紙は「主要日系団体幹部との意見交換会をなおざりにした」と断じ、「このお粗末な同視察団に対し日系コロニアから『公費を使って何を勉強しに来たのか』と疑問の声があがっている」と強い調子で批判した。
 この記事に同調した秋田魁紙は「日系団体代表らが説明している間に居眠りをしたり、靴を脱いだり、雑談する議員もいるなど、出席者の間では不満と失望が広がったという」と受け売り調で報じた。
 その場に出席し活動説明をしたコロニア最大の日系団体、一万六千会員を誇る援協の酒井清一会長(二世)は「怒るような話じゃなかった」という。一時間遅れて釈明もなく、さらに時間短縮となったことは「日本の日本人らしくない」としながらも、「これから百周年もあるし、日本から支援してもらわなきゃならないことも多い」と語った。
 発表時間を二分間に短縮されつつも懸命に訴えた、百周年祭典協会の菊池義治総務副委員長も「大きな問題にするほどのことじゃない」と振り返り、「そんなこといって騒いで、南米視察団が来なくなったら困るじゃない」と困惑した様子だった。
 県連の中沢宏一会長も「あのあと夕食会があったり、シュラスコ会も予定されていたりで、いろいろ話す機会はあった。だから、あの時に時間が短縮されたからといって怒る人はいなかった。全部の日程を考えれば彼らは十分に話を聞いてくれましたよ。特別に失礼な態度も行為もなかった」といぶかる。
 今後、各県議会内で追究されるなどの動きも予想され、そうなると今後の南米視察団の予算は取りずらくなる可能性もある。特に県人会はなにかと世話になっている県議だけに、今後の動きに注目があつまりそうだ。

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