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鬼気迫る演技に涙も=20周年記念大会=14~92歳が熱演=日本から宗家ら祝福に=祥こう流吟舞会

2005年11月23日(水)

 祥こう流(こうは水へんに工)ブラジル吟舞会本部(高橋祥考理事長)は二十日、同本部創設二十周年記念の吟剣詩舞道大会を、リベルダーデ区のブラジル日本文化協会小講堂で開催した。
 日本からは宗家の松永悠楓さんと門下生ら十六人が来伯。ブラジル吟剣詩舞連合会(清水稔会長)の関係者や、松永さんが寄付をしているコロニアの慈善団体からも出席があった。
 二百六十席の会場は開演前から満席となり、急きょパイプ椅子が並べられたが、それでも足りないほどの盛況ぶり。
 同本部は祥秀会、祥展会、祥悦会、祥清会の四つの支部からなり、吟剣詩舞道の団体としてはブラジルで唯一、日本の総本部宗家が正式に認めている。
 ブラジル吟剣詩舞連合会は約十二の詩吟、剣舞、詩舞の団体から成っているが、年々加盟団体は減っている。そんな中で祥こう流は、日本との交流を密にし、二十年間成長してきた。
 第一部ではブラジル本部の四支部から二十二演目が上演され、観客は声援を送って舞台を見守った。
 九歳から九十二歳まで幅広い年齢層の約五十人が熱演し、祥悦会の青年らによる「ああ、白虎隊」では、気合の入った掛け声や鬼気迫る演技に涙ぐむ観客も。
 民謡をやることから興味があって見に来たという市村喜美さん(86)は「感動しました。こんなに素晴らしいとは思いませんでした」と涙をぬぐった。
 また「静御前」を最高齢九十二歳の富永祥政さん(祥秀会)が一人で舞い、しっかりした動きに誰もが驚き盛大な拍手を送った。
 昼食後には、来賓による吟と招待団体の舞踊が行われ、同本部の二十周年を祝福した。
 また、日本の総本部がこれぞ本家という素晴らしい演技を披露、来場者はもちろん、普段ビデオで練習しているというブラジル本部のメンバーは食い入るように舞台を見つめた。
 三、四年ぶりに来伯しブラジルの子弟たちの演技を見たという松永宗家は、「青年たちも参加していて、頼もしく感じました。上達しているか心配していたけど、大したものですよ」と感極まった様子。
 椿祥栄さんは「緊張していましたが、踊り出したら無我夢中でしたよ」とほっと息をついた。
 祥清会の本山祥清会長は「これまでもう限界と思ったことはありましたが、いつも宗家の力に引っ張られてここまでこれた。今日からまた次の目標へ出発です」と話した。
 また、大会のとりをとったのは、松永宗家の友人で舞踊の鳳昇流家元、恩田鳳昇さん。あでやかな沖縄の着物で「花」を踊り、喝采を浴びた。

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