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ブラジル雑俳紀行―俳句で旅行の印象作る-=連載(5)=ピラニア釣りネグロ川支流で=カヌー転覆の危機体験

2005年12月03日(土)

◇4◇ 翌日午前中は、ジャングルのトレッキングである。川辺からあまり深く入らないため再生林が多く、アマゾンの大原生林を往く、という感触はない。マイナスイオンを思い切り吸ったという感じである。
昼前にホテルに戻り暫らく休憩。午後二時頃にホテルの裏のネグロ川支流にある桟橋から十~十二人乗り位のモーター付カヌーでカボクロ(現地人)の村を見学し、ピラニア釣りという予定で出発。
 一行はわれわれ六人に、ガイド、船頭各一人の計八人。快晴ではないがまずまずで波もない。三十分ぐらい走るとネグロ川の本流に合流するが、合流直後から一天にわかに掻き曇り、スコールに見舞われた。おおきな雨粒が急に大量に降りつけ、同時に風もふき、あたかも暴風雨の中を走るようになる。雨足で前後左右がみえない状態である。雨具をつけないと寒いのと体がいたいため、全員必死になって着ようとするが、雨風に打たれてなかなか困難であった。
 一方、雨水は船にどんどんたまり、ガイドと船頭は水の掻き出しに追われ、このままでは横波を食らうと転覆の恐れも出てきた。そこで一同さらに救命具を着用することなったが、なにぶん悪天候下であり、始めてのことなのでうまくいかない。転覆するとピラニアに食われる恐れがあり、川の中の島にたどり着いたとしても、ワニの餌になりかねない。このためか、船頭は水を掻い出しながら、目的地にひた走りに走った。
 約三十分でようやく小雨になり、視界も開け、暫らくして目的地に着き上陸した。大アマゾンの洗礼を受けたということか。前週は何艘かのカヌーが転覆したとか。われわれの幸運を神に感謝し皆で喜んだ。
● 大アマゾン シャワーを浴びて身を清め
● 土砂降りのシャワーに打たれて命ごい
◇5◇ さて、いよいよピラニア釣りである。ネグロ川から支流に入った岸辺近くに船を止め、みんなに釣竿と餌が配られる。ピラニアは、性質が凶暴で、三角形の鋭い歯をもち、川を渡る牛や羊に群れをなして襲いかかり、肉を食い尽くすことがある危険な魚である。
 ピラニア釣りの要領は、まず餌をつけた竿を投げいれ、水面を竿でバシャバシャと叩く。この音を聞きつけ、弱った魚や動物がいると勘違いして集まってくるピラニアを狙うと聞かされたが、その釣り場では肉片を餌にすれば入れ食いである。ただ、当たりがあっても、少し待ち、ぐっと飲み込んだと思われる頃合にあげるのがコツである。このコツを会得すれば、比較的易しい釣りではある。しかし、釣り上げた時は、必ずガイドに頼んで針をはずしてもらう必要があり、後処理は厄介である。
● ピラニヤは 魚の悪魔といういわれ
● ピラニヤも釣ってしまえば只の魚(うお)
 釣れるピラニアは主に赤いピラニアナッテリー(赤)で、煮たり焼いたりして食べるそうである。
◇6◇ その夜は、ワニ狩りに行く。メンバーは昼と同じで八人。真っ暗なジャングルの中の水路をモター付カヌーで進み、船頭がワニを生け捕りにする。電灯に反射するワニの目をさがし、手づかみで捕まえた子ワニをガイドがその生態を解説する。その後、子ワニは森に返される。この日の獲物は体長五十~六十センチの約二歳の子ワニであった。
 闇夜の森は昼間と違った神秘的な顔をみせてくれるが、遠くから聞こえる蛙の鳴声に薄気味悪さを感じた。
●アマゾンの 闇に響くは蛙声
(岡本弘昭さん通信、つづく)

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