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経済ミッションが来伯=34人の半分は中小企業=ブラジル新規組目立つ=対伯投資増加傾向=ジェトロが初めて派遣

2005年12月07日(水)

 ジェトロ(日本貿易振興機構)のブラジル投資ミッションが五日来伯した。日伯首脳の合意を受けて派遣された今ミッションは、ジェトロから八人、日本、北米の日系企業関係者三十四が参加する大規模なもの。到着した五日には、団長の塚本弘ジェトロ副理事長が会見し、日伯経済交流の現状と同ミッションについて説明した。同日四時からはサンパウロ市内でセミナーが開かれ、ルイス・フェルナンド・フルラン連邦開発商工大臣はじめブラジル・州政府の関係者が講演した。
 ジェトロが中南米へ経済ミッションを派遣するのは今回がはじめて。会見にはミッション副団長の今尾進・イマオコーポレーション社長、桜井悌司ジェトロサンパウロ事務所長も同席した。
 塚本団長は、現在中国に一万八千社の日本企業が進出している現状に触れ、ジェトロが提唱する、投資先を中国以外の国に分散すべきとする「中国+1」の考えを説明。同じ新興市場国BRICsの一つであるブラジルがその「+1」の候補の一つになりうるとの見方を示した。
 イマオコーポレーションは愛知県に本社を置く機械部品企業。進出にあたって日本語のできる技術者の存在が必要と語る今尾社長は、「サンパウロにはITや機械製造分野で優秀な学生がいると聞いている。拠点の一つになりうると考えている」と期待を表した。
 今ミッションには大手企業や商社に加え、中小企業関係者が企業の半分近くを占める。四割近くがこれまでブラジルと関わりがなかった企業。一行は自動車部品、環境分野など三つのグループに分かれ、九日までの滞在中、マナウス、ポルトアレグレなど各地で工場などの現場を視察する。
 輸出の好調が続くブラジル。今年一月から九月までの日本からの投資は七億七千八百万ドルに上る。桜井所長は、大手日系企業による新規投資が打ち出される一方、北米から来伯する企業関係者も増加していると現状を説明。「対伯投資は来年以降増えていくと確信している」と述べた。
投資促進呼びかけ
フルラン大臣講演

 サンパウロ市内のホテルで開かれた「ブラジル投資促進セミナー」にはフルラン大臣のほか、ジョアン・カルロス・メイレーレスサンパウロ州科学技術開発長官のほか、ブラジル輸出投資振興庁(APEX)のジュアン・キロス総裁、ロベルト・ジアネッティFIESP理事などブラジル、サンパウロ州の政府関係者が出席。日本側からは塚本団長、ミッション団員のほか、西林万寿夫在聖総領事、日系企業関係者などが出席した。
 冒頭、ジェトロとAPEXの協力提携覚え書きの調印式を実施。この提携により今後、両機関は情報交換やセミナー、展示会の開催など広範囲にわたって協力関係を進めていくという。
 西林総領事は、日伯間の経済活性化は「アジアと南米経済圏の中核が結び付くことを意味する」とミッション派遣の意義を強調。また、入管手続きの改善などを例に挙げながら、投資環境整備を進める必要性に触れ、両国関係の発展に期待を表わした。
 フルラン大臣は「ブラジル経済の見通しと新しい投資機会について」と題して講演。航空機や鉄鋼生産、農産物などの主要産業に加え、薬品やエタノール、バイオ関連分野など将来の成長産業を紹介。また政治などの社会構造、インフラが整備されている点などを挙げ、BRICs四カ国の中でブラジルは最も良い条件を備えていると述べた。
 総領事が指摘した、ビザなど人的往来に関わる事務手続きの問題については、「改善の余地がある」として外務省に働きかける意向を示したが、一方で日本側に対してもマルチビザの取得など制度改善を求めた。
 セミナーではこのほか、メイレーレス長官、FIESPのロベルト・ジアネッティ国際関係・貿易担当理事の講演も行なわれた。

 

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