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自閉症訓練施設つくろう=援協中心に動き出す=ウルグァイですでに実績=まず定期的な講習会から

2005年12月09日(金)

 ブラジルにも自閉症者が自立するための訓練施設を設立しよう―。先月十五日に完成したウルグァイ自閉症者自立訓練研修センターや、生活療法を実践し成果をあげている同国モンテビデオ・ヒガシ学校での活動を受けて、ブラジルでも同様の施設建設に向けて動き出した。その第一歩として、サンパウロ日伯援護協会(酒井清一会長)は、十日午前九時から十一時まで、同協会事務所で講習会を行うことになった。講演者は自閉症男児を持つ矢野高行さん。ウルグァイでの体験報告を中心に生活療法の大切さについて話をする。
 完成日と同日に行われたウルグァイ自閉症者自立訓練研修センターの竣工式には、久山慎一駐ウルグァイ特命全権大使をはじめ約二百人が出席。この建設には日本政府から八万ドルの草の根資金援助を受けた。同センターでは、生活療法により教育を受けたモンテビデオ・ヒガシ学校の卒業生たちが職業訓練を住み込みで始める。
 ウルグァイには十二年前から三枝たか子先生の指導により生活療法が導入され、同センターも「三枝構想」を取り入れる。矢野さんの息子も、彼女の指導により、以前は極度に人を嫌がる子だったが、今では人になつき、笑顔を見せるようにまでなった。
 ブラジルでの一般的な治療方法は、今のところ薬物に頼るしかないのが現状。「行動抑制剤を飲まされた子は麻酔から目覚めると身体が自由に動かせない。これでは運動、勉強に集中できない」と憂慮する矢野さん。「薬をやらないで、身体を動かし、その子にあった教育をする。子ども自身の力で能力を開発していくから自立も早い」と話す。
 今後、定期的に講習会を開催し、寺院や各県人会施設を活用して施設にしたい考え。菊池義治援協副会長は「あまり大きくない施設で、家族が通いやすい場所にしたい」と話し「ウルグァイ人は自分たちの問題だから自分たちで施設つくった。ブラジルには今、それがないように思う。ブラジルにも隠れた自閉症者がいる。積極的にこの問題に関わっていかないと」と意気込みを語った。
 問い合わせ電話は11・7396・1361(矢野さん携帯)まで。

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