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コラム 樹海

 先の選挙では完敗した民主党ながら前原誠司代表の威勢はいい。党大会では、自民党から申し入れがあったとされる「大連合」をいとも簡単に拒否し「政権交代を実現しよう」と叫ぶ。小選挙区の導入で2大政党の時代が近づいたのは事実だけれども、与党の自・公党と野党第一党である民主党の間にはまだまだ政策的な違いが大きい▼特に外交と安全保障に関する考え方が異なることが多い。一つには旧社会党系の国会議員がかなり多いために民主党は、防衛問題などについて神経質なほどにやかましい。歴代の代表も、こうした外交・安保への積極的な意見の表明は避ける傾向が強かった。云うまでもないが、2大政党が成立するためには、お互いの政党に国の安全をどう守るかと外交への基本をどこに置くかについての共通な基盤を持つのが前提となる▼この二つに関しての前原代表の意見は真にすっきりしている。党大会を前にしての訪米と訪中でも「中国の軍事大国化は脅威」と語り批判する。日本の動脈であるマラッカ海峡防衛論をも展開する。日本の政治家でこのような大胆な発言をしたのは故源田実・参議員ら極めて少ない。源田氏は旧海軍の海軍大佐で戦後は空将になり航空幕僚長だったが、こうした難問にも堂々と考え方を述べる前原代表の勇気を評価したい▼勿論、横路孝弘氏や管直人氏などからの反論はいっぱいある。だが、今や単純な「平和論」で国が成り立つかは疑問視せざるをえない。もっと現実を直視した外交を展開しないと、日本は生き残れないの認識を強めたい。  (遯)

05/12/20

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