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「満4年」になりました=イグアスー移住地=自主的お惣菜コーナー

2005年12月22日(木)

 ブラジルとの国境からわずか四十一キロの地点にあるイグアスー(Yguazu)移住地で十二月十日に「満四年」を迎える慶事があった。その慶事にブラジルのグァタパラ移住地特産の「山クラゲ」が華を添えた。ブラジルとコロンビアの日系農家の交流が黒胡椒を通して実を結びつつあるが(本紙十三日付既報)、今度は山クラゲと大豆を通したブラジルとパラグァイ日系農家の交流である。
 満四年を迎えたのは農協スーパーにある〃お惣菜コーナー〃だ。「Cuarto Aniversario,今日で四年目。これからもよろしくお願いします」と書かれた小さな挨拶文を添えた寿司セットが記念メニューであった。その中に、グァタパラ(Guatapara)移住地から寄贈された山クラゲを素材とした煮物が添えられていた。気配りの賜物である。
 料理を作っているのはプロジェクトD(DamasのDで主婦を暗示している)の面々だ。幸坂幸子さん(神奈川県)をリーダーに井上芳恵さん(岩手県)、綿谷悠子さん(パ国生まれ、福島県)、福井珠美さん(パ国生まれ、山形県)の三人、それに、農協に勤務している日系社会青年ボランティアOGの石田喜美子さん(富山県)が企画を担当(本紙・O四年十月二十七日報道)している。
 月曜日から金曜日まで日替りメユーで手づくり料理を提供し、「新鮮で、美味しく、健康的」だと評判になり、今では地域社会にすっかり定着している。
 メニューは色刷りで張り出されていて、それだけでも食欲をそそっている。時の経過とともに常連客が増えてきている。四人の主婦(幸坂・井上・綿谷・福井)が農協の炊事場で朝七時に調理を始め十一時にスーパーのお惣菜コーナーに出品する。時間と労力の限界があり、常連客が増え、需要が増えても、出す料理の数は一定数を保っている。背伸びしたり、無理をしない姿勢が続いてきた要因の一つでもあろう。
 もともと、営利目的でなく、移住地の住民の健康増進を考えて始めたものだ。イグアスー移住地はパラグァイを代表する大豆生産地の一つであり、「健康食として大豆を多くの人たちに食べて欲しい」という思いがあり、大豆料理を続けて出すよう心がけている。
 その一方で、グァタパラ移住地にはイグアスー移住地特産といわれるほど評判の、遺伝子組み換えでなく、タンパク質含有量が高い「オーロラ」の種子を農協を通して提供しており、収穫した大豆を素材とした「オーロラ味噌」をグァタパラ移住地の婦人会がサンパウロ市内でも販売し、好評だ。
 「主婦が毎日このようなことを続けるのは、山あり谷ありで、決して容易なことではありません。主人と家族の理解が基本ですね。五年目に向かって新たな気持ちで頑張ります。ブラジルの皆さんもぜひ私たちの移住地にお出かけください」と、十二月十日、幸坂幸子リーダーが仲間を代弁した。
 一つの行動が国境を越えた交流につながる明るい話題だ。

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