ホーム | 日系社会ニュース | 古本即売市中止が波紋=文協図書委員会=再開に向け検討か=一委員の個人的主張=評議委員会が承認=図書館改革、収入減も=年間貸出料=文協会員は無料へ

古本即売市中止が波紋=文協図書委員会=再開に向け検討か=一委員の個人的主張=評議委員会が承認=図書館改革、収入減も=年間貸出料=文協会員は無料へ

2005年12月22日(木)

ブラジル日本文化協会の図書委員会(宮城滋委員長)が出した赤字予算案(マイナス二万一千レアル)が三日の評議員会で承認されたが、その際、委員会内で議決されていない内容を一図書委員が提案し、承認されてしまった。それにより、文協の赤字はさらに一万レアル増加する見通しとなり、古本市を心待ちしていた会員らから「残念」との声があがるなど、波紋をよんでいる。図書委員会では二十二日に記者会見を予定しており、今後の図書館改革の指針を発表する。
 収入が大幅に減少するのは二つの理由による。第一は来年度から、年間貸出料を徴収しないことに決めたこと。年間貸出料は四十レアル(六十歳以上、学生半額)で例年、五千レアルの収入がある。〇六年度予算案はこの収入なしで計上。この会費は文協の会員費年間百十レアルと別に徴収されていたため、「会員のメリットを増やす」ことがその決定理由とされている。
 図書即売市の中止に関しては、今月三日に行われた評議員会で承認された。〇六年度事業案には即売市実施が記載されていたが、五十嵐司評議員は一図書委員として、「寄贈を受けた図書や図書館印を押している本を販売することはモラルに反する」との持論を展開し、即売市の項目削除を提案、その場で可決された。
 ところが、宮城委員長は本紙の取材に「(即売市)を継続したい」と話しており、「委員会内の意見を統一する必要がある」としている。同委員会会議に出席した杓田美代子委員(文協副会長)は、「両者の意見の対立が見られたが、(中止する)決議には至っていない」と話している。
 のちに同委員は、自分個人の意見を委員会の総意として、評議員会で通してしまったことを認めた。
 評議員会で承認された来年度予算は収入=三万二千九百レアル、支出=五万四千五百五十八レアル。よって、二万一千六百五十八の赤字となっている。
 これに加え、即売市の項目が来年度事業計画から削除されたことにより、このままならマイナス約一万レアルが上乗せされる。図書室には現在、行き場のない約五、六十のダンボール箱があり、閲覧室や倉庫に山積みされている。
 文協事務局によれば、今後、委員会内で即売市続行が決定されても、まず常任理事会、さらに来年四月の評議員会、総会で承認する手順を踏む必要がある。
 二十日に行われた委員会会議では、この即売市を再開させるための調整、図書館改革の今後について検討されたもよう。その結論が二十二日に発表される見込みだ。

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