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わが子や孫たちに託したいこと=日本文化、美質、カラオケも

1月1日(日)

 わが子や孫たちに託したいこと、あるいは伝えてゆきたいこと―。親や祖父母にとって、切実な願いが込められた事柄も少なくないはずだ。母国の文化継承から始まって、蔵書や仏壇をどうするかなどの日常事にいたるまで、子孫に何をどう託すかは実はおろそかにできないことだと言いたい。以下に街の声を拾ってみた。

■民族の伝統継承を

五十嵐二郎(75、二世)

 日本人としての伝統の心を受け継いでほしい。医者でも技術者でも、二世たちは一世の教えを受け継いでいます。それを三世、四世にも身につけてほしいですね。ブラジルの日系人の方が日本より、いろんな面で日本精神の伝統を受け継いでいると思う。この伝統を失わず、立派なブラジル人としてブラジルでがんばってほしい。
 知り合いの(日系)市議が言うんですよ。(ポリチコをやっていく上で)親に教えられたことと違うことが多いと。でも、日系として父母から習ったことをブラジル社会に返していくことは必要だと思う。それが将来ブラジル人にも通っていくと思いますから。

■日本語学び高い教養を

川村真倫子(76、二世)

 日本語は美しい言葉です。一つ一つの言葉の奥に、哲学的に深い意味がある。その意味が分かるようになるまで深めてほしい。今は、日本人自身が、日本語の深さを大事に思っていない。それは悲しいことですよね。
 松柏学園にも大勢の大人の、ブラジル人の学生がいますけど、全ての面で深める人は職業的にも、人間的にも本当に立派と思う人間になっていると感じます。
 単なる会話だけではブラジルに貢献できる日本語にはなりません。さらに高い教養のある日本語を学ぶことで、高い教養を持った人間になれる。それをもってブラジルに貢献できる人になってほしい。日本人の血を受け継いでいることを誇りに思ってほしいと思います。

■「純血」残したい

島田正市(69、埼玉)

 三世、四世になれば混血していくのは明らかだと思うんですよ。でも、その中に少しでも日本の純な部分を残したい。僕がカラオケに力を入れたのもそう。日本の音楽を通じて若い子が集まる場所を作ろうと思ったんですよ。友人に、スポーツを通じてそれをやろうとしている人がいます。じゃあ僕は音楽で、そんな気持ちでしたね。
 僕はブラジルに骨を埋めるつもりだけど、日本人の「純血」を残したいと思う。帰化しないかという話もありましたけど、何だか自分の国がなくなる気がして、結局しませんでしたね。

■着付け伝えたい

安田祐規柄(89、北海道)

 かつらや、着付けをやっています。日本で国家試験に受かって、ブラジルに来る時、こんなもの使うことはないだろうと思いながら道具を持ってきたんですけど、こっちに来てみたら・・・
 いろいろなところに行きましたよ。ペルーやチリにも。おかげで皆さん喜んでくれました。
 着付けは、教えるとだんだんと上手になっていきますね。かつらは難しいけど、続けていってもらいたいと思います。民謡や日本舞踊というのはずっと続いていくと思いますから。
 道具ですか?いずれ使わなくなったら、あげてもいいかなとは思いますけどね。

■まともな成長第一

白水隆祐(70、福岡)

 今は娘婿とランの栽培をやっています。孫は、時たま見に来ることはあるけど、この仕事をするかどうかは分からないですね。
 残したいもの?まあ自分も親の反対を押し切ってブラジルに来ているから。人間としてちゃんと成長してくれたらいいかな、と思います。日本語は、読み書きはともかく、話すくらいはできる方がいいと思う。日本との付き合いが出てくると思うから。

■家庭教育まず大切

岡詢(67、岡山県)

 ひな人形や五月人形。以前ひな人形の展示をしたことがありますが、どちらも子どもの健やかな成長を願うものでしょう。ブラジル人が見ても伝承する価値のある文化だと思いますよ。子どもの初等教育はまず家庭から。家庭教育をもって土台を作ることが大切だと思います。
 移民国家であるブラジルの文明に日本の文化を取り入れて、新しい文明を開発していくこと。それは私たちがいかに人材を育てていくかということにもつながりますよね。

■日系人の特質残せ

沖真一(66、広島県)

 日系人の良さを残してほしい。思いやりとか、勤勉さ。あと、人のものに手を出さないとか。僕も畑を持っているから思うんですけど。日本人の親は人の領域に入らないでしょう。それと、人のために働くことですね。
 言葉は、日本人の顔をしている以上はできる方がいいと思う。ペラペラでなくてもいいから、「ありがとう」とか「おはようございます」「いただきます」といった日本のきれいな言葉、やさしい言葉を受け継いでいってほしいですね。
 本は、読んでほしいけど無理だからね。紙くずになっちゃうかな。

■伝統の家系守る

安永修道(54、三世)

 日本人の真面目さ、これを三世、四世にも勉強してもらいたい。ブラジル社会の中では日本人的な真面目さでは押されてしまうこともあるし、ブラジル的なやり方が必要な時もあるけれど、日系として、日本文化の中で一番大事なところだと思うから。
 あと、家族を知ることも財産だと思います。安永家ではこれまで四人が日本から勲章を受けましたが、子供や孫たちに、先祖が社会に尽くしたことを伝えていってほしい。

■日本文化こそ大切

池崎博文(熊本)

 日本の文化が一番大事。年をとるほどにそう思います。日本語教育を続けることもそうだし、子や孫が日本の習慣、皆を尊敬する気持ちを知って成長していくことが大事だと思います。
 子や孫に何を残すか。日本移民百周年でも、その時だけのことでなく、例えば学校や病院、スポーツなどこれから百年先を思ってやらなきゃいけませんよね。

■日本の礼儀文化を

羽田宗義(79、愛知)

 日本のいい意味での礼儀作法、日本の良き伝統を受け継いでほしい。祖先を敬う気持ちや、素直に謝る心。親孝行は、ブラジルの方がうまくいっているかもしれませんけどね。
 中国人やドイツ人は自分たちの言葉を大切にするでしょう。日本語も、百パーセントではないとしても受け継いでほしい。カラオケの審査をやっていて感じるのですが、昔と違って、最近は歌詞の日本語の意味を勉強して歌う人が増えてきました。変わってきましたね。

■真面目でさえあれば

吉崎哲男(72、鹿児島)

 孫たちには、真面目で、勉強すること。それが望みですね。
 鹿児島の田舎生まれでね。日本で大工をしていて、ブラジルに来てからも指物大工をやりました。日本座敷とかね。ブラジル人にも教えましたよ。五人。今でもいい仕事をしていますよ。
 道具ですか。今でも持っていますよ。人に渡すより、このまま持ち腐れた方がいいかな。

■私を超える人間に

大浦文雄(81、香川)

 心情的には、孫が日本語を話すのはうれしいと思いますよ。でも、その反面で、こういうことがどこまで続くかとも思うんだな。
 子どもや孫に何を望むかというと、自分を乗り越える人間になってほしいということですね。
 一世や僕のような古い準二世は苦労してきたから。僕にもやりたいことはあったけど、やれなかった。
 だから子どもや孫たちには、自分の好きなことをやってほしいと思う。日本文化とかいうことでなく、人間として好きな道を進んでほしいですね。
 文化というのは、風土の中で生まれるものだから、日本の文化もブラジルの風土の中で変わっていくと思う。ただ、変化はしても、感性というか、自然に残っていくものがある。孫たちには、自分の文化を持ってブラジル社会に入ってほしいと思います。
 本ですか。この前友人とも話したんですよ、「この本どうするか」って。僕は、例えば日伯学園とかそういう所の図書館に寄贈しようと思っています。百人のうち二、三人でもいい。興味を持ってくれたら意味のあることじゃないかな。

■民謡を伝授して

中山みどり(86、北海道)

 五十歳で民謡を始めて、今は教えています。何人に教えたか?何人ですかね。
 子どもや孫とは意見も趣味も違うし、話も合わなくなってくる。あれこれとはいえませんよ。子どもは自分の世界を切り開いていきますから。
 ただ、皆と付き合うのに明るくやってほしいとは思います。仲良くやってほしいですね。

■礼儀作法守って

大沢恵子(85、群馬)

 日本語は、普通の会話くらいはできてほしい。日系団体になじむようにね。よそに行ったらブラジル語で。
 日本の知識を持って、ブラジルの常識を守ってほしい。日本人として恥をかかない態度をとってほしいと思います。
 それから礼儀作法。頭を下げるとか、年上を敬うこと。それに、先祖を大事にすることや、仏の前で手をあわせるといったことは受け継いでほしいですね。

■「日本式」過ぎぬよう

沼田信一(88、北海道)

 日本文化とあまり言い過ぎるのではなく、我々はブラジルの文化を取り入れることも考える必要があるんじゃないでしょうか。ブラジルに良く溶け込んで、その中に日本のいいものを残していく。生け花でも、日本の生け方があって、ブラジルのやり方があるように。
 今は日伯関係はいいけれど、将来悪くならないよう、日本式が行き過ぎないように今考えておく必要があると思います。
 ローランジアに開拓神社ができましたけど、今度はロンドリーナに市の貢献者を顕彰する記念館のようなものができないかと考えているところです。それを学生たちに見てもらって、ロンドリーナのために働いてくれるよう残せたらと。その顕彰者の中に日本人が入れば、それはそれでいい事だと思うんですよ。
 今は、書きさしのものを書き上げたいと思っています。自分史ですね。ただ、忙しくてね。

■仏壇だけは最後まで

大森栄子(63、東京)

 仏壇だけは最後まで守ってほしい。先祖を祀るものだから。それだけは子どもたちに言っています。おかげで息子も娘も、出掛けに仏様に線香をあげたり、毎晩ご飯をあげたりしていますよ。
 先祖を敬うことはいいことだと思いますから。それだけはしっかりと守って欲しいですね。後の事は別に、子は子ですから、日本人だからどうこう、というのはありません。
 孫は・・・それは無理かもしれませんね。息子だけでもやってくれればね。

■袴の縫い方伝えたい

池本洲海枝(北海道、79)

 何と言っても袴の縫い方を伝えたい。私の母はとにかく何でもできる人で、日本人形も着物も自分で作っていましたし、髪結いも。赤穂四十七士の話もとうとうと話すんですよ。それで私に何か一つは伝授しようと思ったらしく、教えてくれたのが袴の作り方です。
 役に立つのかとも思いましたが、神社の巫女さんの袴や舞踊の袴にけっこう頼まれることがあるんです。
 これまで作ってあげていたけど、作れる人を増やしたいですね。日本の踊りは少しでも残っていくけれど、踊りのための袴を作れる人はいないでしょ?今はわたしが伝える番です。

■やはり日本語を

山上セツ(京都、83)

 そうね、やっぱり日本語ですよ。子供や孫はうちのなかで日本語を覚えてくれたけど、勉強するのは難しいですね。
 私は五歳でブラジルに来たけど、父が日本から『幼年クラブ』や『少女クラブ』を取り寄せてくれて、面白くってね。それで日本語や俳句を覚えたんです。
 とって置きたかったけど、戦争のとき日本語の本は捨てなければならなかったの。見つかったら警察に怒られるし、泣く泣く捨てました。残念ね。

■日本語で、でも無理か

浦紀南子(和歌山、91)

 ないです。日本語は大切にして欲しいけれど、求められないでしよう。
 でも、そうですね。例えば野球などのスポーツの中で少し日本語に慣れるというのはいいですね。
 物にも未練はない。大切なものはあるけど、それを残そうとは思わない。

■俳句を、ごく自然に

栢野桂山(岡山、82)

 一般的には俳句を伝えていきたいと思います。今はポ語のハイカイがあるけどあと十年もしたら俳句はなくなってしまうんじゃないでしょうか。でも日本的なものを残すのはコロニアのためじゃなくて、ブラジルのためだと思います。
 生まれたばかりの曾孫は四分の一しか日本の血は入ってないんですが、不思議と日本的な顔をしています。少しでも日本が伝わっているんですね。
 特別に残すというよりは、自然と伝わるものでいいかな。

■何よりも教育

松原信子(大阪、61)

 次の世代に託すものは教育、何よりそれが一番大切ですよ。
 娘は大学で日本語の先生をするくらい、ちゃんと勉強してくれました。そういう教育はなんとしても親が与えてあげるべきだと思います。
 私は貧乏して自分が食べるのに困っても娘の大学だけはちゃんと出させました。だからこんな苦労した顔になっちゃったのよ。
 でもね、娘は「大阪弁は汚い」なんて言いながらたまに大阪弁を使いますよ。それがやっぱり嬉しいですね。自分の言葉は目本語というよりは大阪弁ですからね。

■会館守り残したい

井上幸(三世、60)

 瑞穂村の会館を残したい。瑞穂の四人の先駆者や、自分の親たちが残してくれてよかったものは、後の人にも残してあげたいもの。
 会館は、友達と遊んだり日本語を勉強したりした大切な場所です。村のまんなかに建てられていて、瑞穂の人たちにとってはかけがえのない存在。
 今もバザーをしたり、運動会をしたり、にぎやかに盛り上がって、大きな家族みたい。その家が会館ですね。
 年ごとに日本語教室で勉強する子供たちは減っているけれど、瑞穂の日本語学校は成績優秀なんですよ。これからも守っていきたいです。

■日本文化と書物

渋谷信行(台湾、81)

 私は日本文化の伝道師として、二つ次の世界に残したいものがあります。一つは日本文化紹介コーナー。もう一つは司馬遼太郎などの日本の本や雑誌ですな。
 日本文化紹介コーナーは私が勤めていたウジミナスの中に作ります。日本から取り寄せている絵や食器、人形なんかを展示します。文化を知るのには実際に見ることがいちばんですな。
 私は若い頃野球ばっかりやっていて、勉強はちっともしませんでしたが、司馬遼太郎の歴史小説はすばらしい。ポ語の日本文化紹介雑誌もこれまでずっと集めてきたものを皆さんに紹介したい。

■皆でカラオケを

小野田貢(福島、67)

 カラォケだね。自分は今八年くらいやっているけど、カラオケはみんなで楽しく集まって、好きな歌を歌って、うまくなるのも楽しいし、日本語も覚えるし、とてもいい交流の方法だと思う。瑞穂の教室では四十五歳から九十歳までが歌っているよ。
 自分がやっているところでは若い子がいないから、入ってくれるといいね。そしたらもっと楽しくなるな。

■日本の物を大切に

藤林伸子(東京、85)

 日本語を勉強して欲しい。戦争中隠れて勉強したことを考えると、今はもっとたくさん本もあるし、日本も近くなりましたよね。
 ほかに残しておきたいものと言えば、日本から持ってきた瀬戸物だとか日傘とかがあったんですけど、戦争中にサントスの近くで、しまっておいた箱ごと盗まれてしまいました。
 日傘はとっても気に入っていて大切にしていたので残念でしたね。今はもう、日本のものは何も持っていません。

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