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日本コメ=値下がる=消費頭打ち安売り競争=低価格指向=原価割れに近い状況=すでに店の主力商品ではない

2006年1月6日(金)

 リベルダーデ区内の商店では、日本米の価格が四、五年前と比べて下がり、原価割れに近い状態になっている。一世の減少などで消費量が頭打ちになっている上に、各店で安売り競争が展開され始めたため。品質から低価格へと、米に対する消費者の意識も一時期に比べて様変わりしたようだ。
 地下鉄リベルダーデ駅にほど近い小売店。各種の米がうずたかく積まれている。関係者は「五キロが今九レアル前後ですが、ついこの前まで七レアル代まで下がりました」と眉をしかめた。
 東洋人街は全国一米の価格が低い場所だという。たいてい米は店の入り口付近に置かれているが、店の主力商品では決してない。店は安さを売りに客を引きつけたいのだという。
 「米だけだったら、利益にならない。たくさんのお客さんが入ってきて、別の商品をついでに買ってくれることでなんとかやっていける。ここで仕入れてほかの区に持っていき、二〇~三〇%かけて売る人もいます」。
 小売店の話を統合してみると、以前は原価に一五%~三〇%上乗せして販売していた。日本米(炊飯向きの米)はブラジル米に比べて三倍の値段がついていたという。例えばブラジル米が八レアルなら、日本米は二十四レアルしたわけだ。
 状況が四、五年ほど前に変わった。大型店が安売りに踏み切ったのだ。零細商店も追随せざるを得なくなった。前述の関係者は「最近は原価割れすることも出てきている」。日本食レストランの店主は「仕入先の問屋さんが売れないといって頭を痛めていますよ」と明かす。
 消費者の意識が一昔前と比べて変化したことが、低価格競争につながってきているようだ。別の小売店店主は「『昔は質の良い米はありますか』と聞かれた。今は『安いのはどれ』と質問されることがほとんど」と実状を説明する。
 良質の日本米を買い求めるのは、駐在員を含めて一世だ。その人口が減少していく中で、消費量が頭打ちの状態になった。
 「二世、三世はピザやマカホンを食べるようになり、米を炊く回数がぐんと減った。それに日本米とブラジル米の違いも分からなくなったと思う。それで日本米も売れ残るようになり、価格の下落を招いたのでは」(同店主)。
 利益を確保するために、基準量を超える不純物を混ぜたり、ほかの米とブレンドする業者も結構いるらしい。

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