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日本の国会でも=08年向け始動へ=南米視察の5衆議=サンパウロ市で会見

2006年1月14日(土)

 日本の衆議院議員を中心とした南米各国議会制度等調査団の一行八人が六日から十三日の日程で南米を訪れた。各国の議会制度、政治経済事情の調査を目的に、チリからブラジリア、サンパウロを訪問。視察を終えた十二日夕方、サンパウロ市内のホテルで会見した。坂本剛二団長は「今回の調査結果を踏まえ、帰国後、国会側として関係省庁と相談していきたい」と述べた。
 この日会見したのは坂本剛二団長(福島県)をはじめ、佐藤勉(栃木)、田中和徳(神奈川)、西銘恒三郎(沖縄)(以上自民)、神風英男(民主、埼玉)の五衆議。
 一行は六日にチリ、八日にブラジリアを訪れた後、十日から十二日までサンパウロに滞在。チリ滞在中には、首都サンチアゴで日系のカルロス・オミナミ上院議員(社会党)と懇談したほか、日本の首都機能移転との関係で、九〇年に国会議事堂を移転したバルパライソ市などを訪れた。
 ブラジリアでは、セルソ・アモリン外相、伯日議連副会長のパウロ・デルガード連邦下議などブラジル政府関係者と懇談。セラード農業地域やブラジリア遷都関連の施設なども訪れた。外相らとの協議ではエタノール対日輸出についての意見交換もあったという。
 サンパウロでは開拓先没者慰霊碑や日本館、ブラジル日本移民史料館などを訪れたほか、日系団体、商工会議所関係者と懇談した。
 商工会議所との会合では日伯EPA(経済連携)交渉について意見を交換。日系団体代表との昼食会では、各団体がそれぞれの活動を説明したほか、日本移民百周年に向けた日本側の協力が改めて要望された。
 三度目の来伯となる坂本団長。「三十年前にはじめて来た時は苦情や不満があったが、今は皆さんがとても前向きになっていてほっとしました」と印象を語る。また、移民史料館についても「文協ビルが九階になり、移民の歴史や伝統を伝える資料集めも行われている。百年の移民政策が花開きつつある」と感想を述べた。
 会見では日本移民百周年に関する質問も多く上がった。
 百周年の記念式典に向けて、皇室をはじめ、総理大臣、政府高官の出席を要望する声があることについて、坂本団長は「実現の可能性は高いと思う」と述べる一方で、六月十八日が通常国会の最終日前後にあたるなどの問題も指摘。
 日伯総合センターへの協力要望が出ていることについては「初めて聞いた話。ここでは結論が出せないことなので、帰国後、それぞれの立場から検討していきたい」と述べるにとどまった。
 会見ではこのほか、在外選挙での選挙区投票を可能にする公職選挙法改正案が通常国会に提出されることにも言及。他の議員からも、日本語教育への取組みが必要とする意見や、保険、年金など在日ブラジル人の諸問題への対応が必要との意見があった。
 これまでは政府レベルが中心だった日本の国会議員団。今回国会代表としての議員団が来伯したことで、今後、日本の国会でも百周年に向けた動きが進むことが期待される。坂本団長は「自分たちが帰国してから動きが出てくると思う」との見通しを示した。

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