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方言、助け合い精神…=ブラジルに残る昔の沖縄=来伯県議団が感心=県系人との懇談で

2006年1月28日(土)

 沖縄県議会南米等派遣議員団(新垣哲司団長、県議会副議長)とブラジル沖縄県人会関係者との懇談会が二十二日夕方、同県人会で開かれた。県人会役員や会員、県系企業家などおよそ五十人が出席、沖縄・小禄出身の上原幸啓文協会長も会場を訪れ、県人会の現状や県への要望など、約二時間にわたって意見を交換した。
 このたび来聖した議員団は新垣副議長はじめ九人の県議と議会関係者など十三人。二十九日にリマで開かれる沖縄県人ペルー移住百周年式典に参加するため南米を訪れた。
 一行は着聖後、ブラジル日本移民史料館や開拓先没者慰霊碑を訪れたほか、市内の県系人企業家グループなどを視察した。
 クールビズの一環として沖縄県で導入された「かりゆしウェア」に身を包んだ議員団一行。冒頭のあいさつで新垣団長は、在伯県系人の活躍に敬意を表すとともに、〇八年の移民百周年に向け「移住者への感謝の気持ちをますます強く思う」と述べた。また十月に沖縄で開催される「世界のウチナーンチュ大会」にも触れ、参加を呼びかけた。
 各議員のあいさつでは、「ニューヨークよりすばらしい」とサンパウロの印象を語る人や、親戚と再会した喜びを語ったものなど様々。戦後、大きな被害を受けた沖縄に援助物資を送った県人の功績を称えたものもあった。
 中には、ウチナーグチ(沖縄方言)の継承に取り組む県人会の活動と、方言が消えつつある沖縄の現状に触れ、「昔の沖縄が今ブラジルに残っている。ブラジルに残るゆいまーる(助け合い)の精神を持ち帰り、沖縄の教育に生かしたい」と語る議員も。
 与儀昭雄県人会長は、国内四十五支部に広がる県系人社会で世代交代が進む現状を説明。さらに、若い世代が沖縄との交流を深めるため、留学研修やジュニアスタディツアーなどの交流事業を今後も継続してほしいと要望した。
 沖縄に関する雑誌の発行など県系企業家グループが行う活動も紹介。会長は「ウチナー社会だけでなく、これからはブラジル社会に『沖縄』をアピールしたい」と抱負を語った。
 出席者からは、日本移民百周年の県人会事業への協力を要望する意見や、県からの補助金継続を求める声。その一方で、母県で方言が消えつつあることに危惧を表わす人もあった。
 留学・研修生OBを代表してあいさつした座嘉比シモーネさん(〇五年県費)は、一年間の留学を振り返って感謝の気持ちを表わすとともに、OB会「うりずん」の活動を紹介。「沖縄の心をブラジルの同世代に伝えたい」と語った。
 終了後は会館サロンに会場を移して夕食会。あらためてあいさつした新垣団長は「今日の要望に対して、私たち九人心を一つにして取り組んでいきたい」と決意を表わした。
 与那嶺真次・沖縄文化センター理事長の発声で乾杯、会食。県議団から県人会へ寸志、県人会から一行へ記念品がそれぞれ手渡された。
 出席者も次第に増え、七十人前後に。食事を囲み、出身地ごとに分かれたテーブルで談笑した。

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