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日本語教育=変わる理念=非日系人生徒が増えて「継承」が薄れる=「移住者支援」「日系社会支援」も当てはまらず

2006年2月7日(火)

 日本語教育の理念は何か──。日系社会シニアボランティア(日本語教育)・日本語学校モデル校合同連絡会議が二、三日にサンパウロ市内のホテルであった。一つの問題提起として、そんなテーマが討議された。非日系人学習者数が増加。現場で「継承」という意味が薄れつつある中で、国際協力機構(JICA)の支援体制を支える理論が議論の俎上に上る形になった。「移住者支援」の一環で、日本語教育支援は開始され、世代交代の進行などにつれて、「日系社会支援」に変化した。新たな理論づくりが、必要になってきているのだろうか。
 北東伯にある、文協運営の日本語学校。生徒数は約五十人に上る。日系社会青年ボランティアが今年一月に帰国するのに当たって、後任ボランティア派遣を要請することになった。
 しかし、生徒数の約九割が非日系人。しかも成人が対象だったので、関係者らが戸惑った。現場での教育内容が、日本語の継承に当たらないのではないかと懸念したからだ。
 国際協力機構の日本語教育支援は、「移住者支援」の一環で行われてきた。つまり、日系人子弟に父祖の国の言葉や文化を伝えていくというのが目的。それに適った学校を対象に、ボランティアの派遣や研修会助成を実施してきた。 
 現地との同化が進んでいくにつれて、「移住者支援」という理論では支えられなくなり、現在は「日系社会支援」に変化している。それでも青年ボランティアの派遣先に、日系人子弟がほとんどいないなら「日系社会支援」にならない。
 「日本語・日本文化に関心を持ってもらうのは、国際協力になる」。ボランティアの派遣要請に当たって、日本側にはそう納得させることで、後任が来る見通しが立った。つまり、「技術協力」という面が強調されたわけだ。
 仮に日本語教育支援を「技術協力」の枠の中で捉えると、政府間の問題になるため、ブラジル政府からの要請に基づかなければならない。煩雑な手続きを踏まなければならなくなるだろう。
 ブラジル政府がそもそも、日系日本語学校を支援するために動くのか? そんな懸念もあるという。
 北東伯などブラジル北部では、非日系人と日系人の学習者数が逆転している学校があり、今後、同じような問題が起こりうる可能性がある。
 実は日系コロニアの日本語教育を支援していくための一つの理論的な支柱として、「継承日本語教育」という概念が数年前から、盛んに言われ始めた。
 日本語教育には、「継承」と「普及」の二つの面がある。日系人子弟は「継承」に当たり、移民史など教科書に取り込んでいかなければならないという考え方。非日系人学習者から見れば、「異文化理解」になるという。
 非日系人学習者が大半を占めるような学校で、「継承日本語教育」がどこまで通用するのかは、まだ不透明だという。

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