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皆の助けで今がある=原田弁護士の功績称え=日系社会が顕彰の集い

ニッケイ新聞 2011年2月11日付け

 昨年サンパウロ州法律学アカデミー終身会員、ブラジル税法アカデミー会員に選ばれた原田清弁護士(69)を顕彰する集いが3日夜、日系団体の主催により文協貴賓室で開かれ、150人あまりが祝福に訪れた。

 日系5団体、外務省研修生OB会が共催。大部一秋在聖総領事夫妻、野村アウレリオサンパウロ市議、原田氏と大学以来の友人である上田雅三連邦最高裁判事、吉田コンスエロ連邦判事も訪れた。
 原田氏は41年にマリリアで生まれ、同年オズワルド・クルスへ移転。17歳で出聖し、67年にサンパウロ法科大学を卒業した。サンパウロ市役所法務局長、国内大学の租税法・財政法の教授、サンパウロ州弁護士養成学校理事、サンパウロ州工業連盟(FIESP)高等立法司法学諮問機関の顧問など多くの役職を歴任。300以上の論文、23冊の著書がある。
 日系社会との関わりも深く、08年には移民百周年を記念した本「ブラジルの日系人(O Nikkei no Brasil)(のち第2版、日語版も出版)」をコーディネートし、自身も執筆。文協でも法務委員会、評議員会などで役職を務める。
 そして昨年8月にサンパウロ州法律学アカデミー終身会員、11月にブラジル税法アカデミーの会員に選ばれた。いずれも日系では初めての就任となる。
 木多喜八郎文協会長は、同氏の足跡、日系社会への献身に触れ、「その先駆者精神はすべての日系人にとって誇りであり、未来の世代に刺激を与えるもの」と賞賛。大部総領事は、二世の社会進出を誇りに思うとし、さらに日系社会によって顕彰の集いが開かれたことへの感動を表した。上田判事からも祝辞が送られ、続いて共催団体から原田氏に記念のプレート、夫人のアヤコ・フェリシアさんに花束が贈られた。
 大きな拍手の中マイクの前に立った原田氏は、ルーツを同じくする日系社会からの顕彰に特別の感慨を表し、「特に若い人の参考になれば」と自身の人生の軌跡を振り返った。
 少年時代を過ごしたオズワルド・クルス。熊本出身の父・運造氏から「規律、尊敬、責任、誠実、感謝の気持ち、恥を知ることを学んだ」と話す。59年に出聖した時には、「どうやって学校を探せばいいかも知らなかった」が、後にコレジオでの成績を父が友人たちに見せていた思い出に触れ、声を詰まらせた。
 大学在学中にバンデイランテス組合法務部門で植木茂彬氏(のち鉱山動力大臣)らと出会い、税法の道へ。同大のルイ・バルボーザ・ノゲイラ教授はじめ、これまで世話になった人たちの思い出に触れ、「私のこれまでの歩みは、個人の努力だけによるものでなく、私を助け、導いてくれた人たちのおかげ」と述べた。
 原田氏は、進学のチャンスを与えてくれた母・ももえさん、家族、法曹界、日系社会関係者らを自身の人生における〃英雄〃と述べ、最後に「ブラジル社会への感謝を抜きにして現在の私は語れない」と締めくくった。
 森口イナシオ援協会長の発声で乾杯後、食事へ。原田氏は会場の各所で家族や友人たちと写真に収まっていた。
 撮影を終えた原田氏に父・運造さんへの思いを聞いた。原田氏は、「厳しい父だったけど、厳しくしつけてくれたからこそ、ここまで歩いてこれた。とてもありがたく思っている」と気持ちを語った。

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