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商議所 業種別部会長懇談会――――最賃引き上げ効果を期待=家電・自動車は好調続く=連載(下)

2006年2月11日(土)

【繊維部会】冷夏と暖冬で衣料品販売の落ち込んだ繊維業界。今井部会長は「くもりのち小雨でした」と〇五年を振り返る。クリスマス商戦も不振。小売業者からは手形の引き伸ばしも出ているという。一方レアル高で輸入素材のコストは下がった。
 〇六年はW杯と選挙の年。最低賃金引き上げの効果も期待される。今年の見通しは「うすぐもりから、晴れへ」。
 国際原綿は異常気象により高級質綿が供給不足に。下級品は米国と中国を中心に増産。最大輸出国の米国では綿花生産への補助金があり、〇六年も大幅な減反はされない見込み。国内では植付け面積の減少などにより、やや減少が予想される。
 世界全体の消費量も増加傾向。全体の約七割を占める中国、インド、パキスタン、トルコが今後の動向をにぎる。
 綿糸は原綿もレアル高の影響で輸出が不振。中国はじめアジアからの輸入生糸が増えている。
【食品部会】〇五年はレアル高の影響で輸出が伸び悩んだ。即席めん業界では輸入原材料のコストは下がったものの、国内メーカーの新規参入で競争が進む。
 四月のサーモン寄生虫問題で売上の激減したしょう油。九月以降回復が進み通年では前年並だった。
 飲料は「健康」をキーワードにした商品が増加。低カロリーだけでなく、ビタミン入りの果汁飲料なども出てきているという。
 コーヒーはレアル高により厳しい輸出環境が続くが、生豆では三井アリメントスが国内五位を記録。イグアスコーヒーの国内シェアも一二%まで上がった。
 〇六年もレアル高と、原油高による燃料費の増加など各社対応を迫られる状況だが、選挙年ということもあり国内では堅調な販売を予想している。小売チェーンの寡占化による価格プレッシャーが懸念材料。
【電気電子部会】〇五年は通信分野が大幅な伸び。携帯電話の加入者は六千六百万人から八千六百万人に増加。ブロードバンドの加入者も大きく増加している。家電分野ではDVDやデジタルカメラ、テレビなどが大きく増加。オーディオ、エアコンは不振だった。
 業界では大型量販店の寡占化による価格プレッシャー、中国からの輸入品増加など厳しい要因もあるが、W杯でのテレビ需要などを中心に成長が期待される。
 〇五年は政治スキャンダルにより構造改革が中断。また政府系の入札事業がオークション形式になり、競争が激しくなっている。〇六年は経済変動のリスクも小さく、金利引下げや公共投資の増加などが見込まれる。
【建設部会】〇五年は前年からの好調が続いたことで総体的に順調に推移した。ただ公共事業が減額した影響で、ブラジル企業の民間入札参加が増えてきている。「〇六年は昨年程度か若干の伸び」と阿部部会長。
 不動産は、金利の下落傾向が続けば住宅ローンによる購入が期待できるが、金利はまだ高いのが現状。
 アパート建設は、ABCなど大サンパウロ市圏の需要が伸びているが、完成前に契約する割合が下がっており、工事費用の立替金利が収益を圧迫しているという。
【運輸サービス部会】航空業界は原油高による燃料高騰、米国の入国ビザ取得義務付けなどの悪条件はあったものの、レアル高で南米を中心に外国マーケットは好調。国内ではTAMなどの新規参入組が伸び競争が激しくなっている。世界の経済動向、災害などにより環境が変動する可能性はあるが、「全体としては拡大傾向」と平野部会長。
 物流業界では、レアル高による輸出への影響や、原油高騰で燃料費が増大するなどの問題が続いている。
 国外旅行は、運賃は上がったが、ドル安の影響で南米を中心に旅行者は増加。国内旅行は航空各社の競争により多様化の傾向が見られる。〇六年は回復基調にあるが、バリグ航空の日本直行便中止により、北米、欧州経由の座席確保が難しくなっているという。
【自動車部会】〇五年の四輪自動車生産は前年比一〇%増の二百四十四万八千台。うち乗用車が百九十三万台を占める。販売台数は百七十二万台で前年比八六%増。〇六年は生産二百五十六万台、販売百八十四万台を見込んでいる。
 乗用車の上級化が進んでいるほか、ガソリンとアルコールを併用するフレックス車の割合も総新車台数の七割まで増えている。フレックス車の上昇基調は今後も続くと予想される。
 輸出は約八十一万台。メキシコ・アルゼンチンなど中南米向けが半分以上を占める。
 二輪車は昨年はじめて年間生産台数が百二十万台を突破。今年は百三十三万四千台に上る見通し。市場も拡大している。「五年後には四輪を抜くのではないか」と岩村部会長。
 四輪、二輪ともに部品部門も国内販売の増加を受けて伸びた。
 岩村部会長は、昨年に引き続き移転価格税制、EPAといった課題に取り組んでいくほか、今年は中国・アジアからの新規参入企業のブラジル基準への適合性を検証していく考えを示した。
     ◎
 部会発表後、講評を述べた西林万寿夫総領事からは、「多岐にわたる日本企業の活躍を知り安心した」との感想のほか、より総合的な中国研究や、デカセギ送金など貿易外収支の部分に触れてはどうかとする提案を挙げていた。
      (終わり)

■商議所 業種別部会長懇談会――――「セーラ候補当選」か?! 数年は経済好調の見通し=連載(上)

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