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人文研支援で日系芸術家展=十数年ぶり=約40人協力=小品中心にR$500から=売上の半分を寄付

2006年3月9日(木)

 ブラジル日系美術館で十四日から、日系芸術家の作品を集めた展示即売会「人文研資金カンパ展」が開かれる。サンパウロ人文科学研究所への資金カンパを目的に開かれるもので、文協美術委員会、ブラジルを知る会の協賛を得て実現した。十九日までの期間中、小品を中心に絵画、彫刻、陶芸など約四十人の作品を販売。売上の半分を人文研に寄付する。これだけの規模の日系芸術家展は近年なかったこと。注目を集めそうだ。
 昨年創立四十周年を迎えた人文研。数少ない日系コロニアの研究機関として活動を続けているが、潤沢な資金に恵まれているとは言えないのが実情だ。
 人文研では毎年、ブラジルを知る会の協力で古本市を開き、その売上を運営資金の一助にしているが、今回は特別に日系芸術家による資金カンパ展が企画された。
 若林和男さん、豊田豊さん、沖中ロベルトさんの呼びかけに、大竹富江さんなどの著名人を含めた、現在ブラジルで活動する三十人以上の芸術家が応じた。さらに半田知雄、沖中正男、間部学、木暮光孝など故人の作品も出品される。
 十四日午後七時からイナウグラソンが行われ、その後十九日まで開催。作品はイナウグラソンの日から販売される。
 出品される作品は絵画や彫刻、陶芸、タペストリーなど美術全般にわたる。小品が中心で、価格は五百―二、三千レアル程度になる見通しだという。原則として即売。十回までの分割払いも可能になっている。若い世代が購入しやすいようにとの配慮からだそうだ。
 人文研には売上の半分が寄付される。「我々にとって貴重な研究費。ありがたいことです」と人文研顧問、宮尾進さんは話す。初期のサロン文協で審査員をつとめるなど、宮尾さんと日系芸術家との長年の交流も今回のカンパ展実現につながっている。
 資金カンパ展が開かれるのは十数年ぶり。以前は八年連続で開かれ、旧南米銀行本店のホールで行ったこともあったという。
 当時を知る若林さんは「(半田知雄、高岡由也、間部学など)先輩の人たちがいて展示会をやりやすかった。コチア産組や南米銀行もあったし、日本企業も良い時代でしたから協力も得やすかった」と振り返る。「昔は若かったけど、今は年長の方になりましたよ」とも。若林さんはさらに「昔と違って、今はいい仕事をしている若い作家をコロニアが知る機会が少ない。今回がそれを是正する機会になれば」と語り、開催に期待を表わした。
 「尊敬する人文研の仕事に微力でも力添えができたら」と語る若林さん。「いろいろな人の作品を見てほしい。皆さんキャリアのある人たち。安心してお持ちいただけると思います」と来場をよびかけた。
      ◎
「人文研資金カンパ展」=会場はブラジル日系美術館(文協ビル二階、Rua Sao Joaquim,381)。十四日午後七時からイナウグラソン。十五日から十九日は午前九時から午後五時。
 出品予定者は次の通り(八日現在)。島袋アデマール、岡本アヤオ、近藤敏、近藤恵津子、吉沢太、柴田イネス、中島巌、工藤ジェームス、若林和男、廣田建一、金子謙一、ニイ・キミ、久米ルシオ、間部学、金子まりこ、石川マリオ、沖中正男、中久保益男、庄山マウロ、湯浅メグミ、ミドリ・ハタナカ、曽我部ミルトン、細井戸三枝、原田美弥子、近藤直人、鳥井伸夫、沖中ロベルト、越石幸子、鈴木章子、福島隆、金子太郎、大竹富江、半田知雄、楠野友繁、三浦義幸、間部ユーゴ、豊田豊、田中慎二、木暮光孝   (順不同、敬称略)

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