ホーム | コラム | 樹海 | コラム 樹海

コラム 樹海

 岩手県はデカセギが最も少ない県の一つである。さきごろ、県の国際交流協会から県人会に「みなさんご存じの日系人で岩手県在住者がいたら、知らせて下さい」という連絡が入った。県人会ニュースが早速これを取り上げ、本紙は「大耳小耳」の欄で「温かい岩手県」と紹介した、つもりであったが――▼文の末尾に「予算がどこも窮屈になっていく昨今、問題が起きていないのに、まず居るところを知りたいとは」と書いた。これが国際交流協会の職員に〃誤解〃されてしまったようで、レクラマソンが県人会に届いた▼「耳」子は、次の趣意で書いたつもりであった。「まだ法を犯す人がいない『清い県』が、転ばぬ先の杖的に、しっかりブラジル人(や外国人)の所在を把握して置こうなんてすばらしい、なかなかできないことだ」▼もちろん、県人会に連絡してきた交流協会も同じ気持だった。岩手県に住む外国人にとって、県が少しでも住みやすい環境になれば、と常日頃から考えている。デカセギが多い地域の情報を耳にするにつけ、事が起こる前に、顔の見える関係を持ち、お互いに少しでも歩み寄れるようにしていかなければ、問題が多発する地域に学んでいない結果になってしまう、と▼「耳」の文は「対策は事が起きてからでいいではないか」というふうに、受け取られてしまったかもしれない。岩手県は、たとえ、デカセギが増えても、いい関係を保っていけるだろう。協会の意図している行動はやはり奇特で温かい。(神)

06/03/17

image_print