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日本移民の歴史教育を=教師が史料館で研修=セー地区プロジェクト「セントロが学びの場」

2006年3月18日(土)

 子供たちに日本移民の歴史を伝えよう――。サンパウロ市セー地区が昨年から始めているプロジェクト「セントロが学びの場(O CENTRO PODE SER UMA SALA DE AULA)」の一環として十五日、セントロ地区の小学校で教える教師たちがブラジル日本移民史料館を訪れた。生徒が見学に訪れる前に教師たちに事前研修を行い、理解を深めるのが狙い。同プロジェクトのコーディネーター役を務めるオルガ・アルーダさんは、「ブラスの移民博物館も訪れた。多民族が集まるサンパウロで移民についての歴史教育は重要」と話している。
 同プロジェクトは昨年から、四年計画で実施されており、セントロにある十八の小中学校が参加している。
 市立劇場、市議会、マターゾビルなどの歴史建造物を中心に、環境問題、美術館など文化、フェイラや市営市場なども事前研修予定地に入っている。今回の史料館訪問も、サンパウロ市観光地区にも指定されているリベルダーデ地区を視野に、日本移民の歴史や日系社会などの理解を深めるために企画されたという。
 コーディネーターのオルガさんは「セー地区の再活性化事業として行われており、今月末には教師たちの討論会も予定されています」と説明する。
 史料館の事前研修では、午前と午後、それぞれ三十人の教師が史料館の大井セリア館長のレクチャーを受け、笠戸丸から始まる日本移民の歴史や日系社会の形成などに理解を深めた。
 続いて参加者たちは館内を見学。興味深そうに展示品を見つめていた。一行は大井館長の説明に耳を傾け、熱心にメモを取っていた。
 参加したジャネッテ・ガンバルデーラさんは「日本移民の史料館があることを今回初めて知った。日系社会の歴史をよく理解できた。しっかり子供たちに伝えていきたい」と笑顔で話した。
 研修の最後には、昨年放送されコロニアでも大きな話題を呼んだNHKドラマ「ハルとナツ」のダイジェスト版も視聴。中には目頭をハンカチで拭う教師たちの姿も見られた。
 講師役を務めた大井セリア館長は「みんな関心を持って熱心に聞いていた。子供たちに日本移民の歴史を知ることで、将来何かの役に立てば」と期待を込めた。

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