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コラム 樹海

 つい最近、グアルーリョス市でサンパウロ総領事館による領事出張サービス(「一日領事館」)が行われた。東京から横浜市に出張したようなもので、そのサービスのよさにちょっとびっくりした▼普通、グアルーリョスからなら、ちょっとサンパウロまで出て来なさい、と言いたくなる距離である。現実は、届け出などがあっても、なかなか出てこない。総領事館のほうから出向けば、それならとばかり重い腰をあげる▼地方で「一日領事館」が開かれれば、その地方の有力者が、大張り切りで、率先して、選挙人登録の必要な人や届け出の用事のある人たち人を集めてくれる。総領事館が好きなのである。領事とお付き合いをしたいのである。近年は、一世が老いて、二世の有力者が協力をしてくれる▼届け出がなければ、古い移民は百歳を越えても(書類の上で)生き続けることになる。日本国籍保有者の死亡は、死後すぐに届け出なければならないのに、過去、奥地では困難であった。それが惰性のように、交通が便利になっても怠っている場合がある▼それにしても、在留日本人と総領事館の間は、以前とあまり変わっていない。三十年くらい前までは「開戦直前、移民を残して、自分たちだけが帰国した領事たち」という怨嗟の声が聞こえたものだ。そのくせ、領事と仲良くしたいのが移民の心情であった。このことは、時を経てもあまり変わっていないのである▼今後もいろいろな地方に出張サービスをしてほしいものだ。(神) 

06/03/29

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