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日本の医師国家試験に合格=援協巡回診療〃出身〃の2人=初めて松崎さんと吉利さん=巡回に熱心に参加していた

2006年4月12日(水)

 援協巡回診療班に参加していた医師が今年、日本の医師国家試験に合格した。松崎信二郎ウイルソンさん(40、二世、外科)と吉利サチエ・エレーナさん(29、二世、小児外科)の二人。父祖の国で医者として活躍すべく、病院や大学で研修に入っている。外国人にとって、同試験は超難関。〃巡回診療班出身者〃では初めてのことだ。
 松崎さんはロンドリーナ医科大学卒。専門は外科だ。九〇年代後半から〇五年の初めまで、巡回診療に携わり、もっとも検査件数の多い胃カメラを担当。貴重な人材だった。
 医師不足に悩む同班で、若手のまとめ役。時間が許す限り、一週間以上の奥地巡回にも協力し、参加医師の確保に奔走していた。
 JICAの本邦研修や自費留学で、九〇年代初めの六年を日本で過ごした。巡回への参加は、帰国してからだ。総合診療所にも週に二回勤務していた。
 以前、国家試験に挑戦したことがあるが、外国人のハンディからか、壁を乗り越えることができなかった。義弟が国家試験に合格したことで再度発奮。昨年初めから、日本で受験に備えてきた。
 根塚弘班長は「彼はリーダーで、仲間の相談によく乗っていました」と、同医師の人柄を語る。すでに、埼玉県内の病院で研修医として、第一歩をスタートさせているそうだ。
 吉利さんはサンパウロ大学医学部出身。JICAの本邦研修でも腕を磨いた。二〇〇〇年に卒業すると、すぐに巡回に携わるようになった。「ざっくばらんで、明るい性格」と根塚さん。
 巡回には、内科医として参加。各地で健康に関する講演をするなどして喜ばれた。現在は、京都大学に籍を置いて研修に励んでいるところだ。
 二人は先ごろ、別々に巡回診療班に顔を出し、近況などを報告。関係者に感謝した。根塚班長は「自分が選んだ道なのだから、一生懸命、信念を貫いてほしい」と日本での活躍に期待をかけている。

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