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外国語能力に応じて=NGK社報奨金=日本語の場合、最高3千レ=意思疎通なめらかにして=生産効率向上ねらう

2006年4月14日(金)

 外国語能力に応じて報奨金を支給──。ブラジル特殊陶業(=NGK、山下修二社長、従業員数約千百人)が日本語、英語、スペイン語の検定試験で一定以上のレベルをとった、従業員に一時金を支払う方向で検討を進めている。経済のグローバル化が進む中で、社内のコミュニケーションを改善。生産効率の向上を狙う。本社が日本にあるだけに、特に力を入れているのが日本語。ジェトロビジネス日本語能力テストで、レベルに応じて六百レアル~三千レアルを支給する見込み。景山吉信取締役は「実りのある投資になるはずだ」と自信をのぞかせている。
 NGKの創立は一九五九年。今年が四十六年になる。かつて一世が多く勤務しており、日本語が通じていた。時代とともに、日本語に堪能な従業員が減少。日本からの出向社員とのコミュニケーションがうまくとれなくなってきた。
 本社からくる社員が生産現場で、技術指導などをする。三年~五年くらいで帰国するため、専門的な事項について、ポルトガル語で会話をするのは難しい。
 勤続二十七年の景山取締役自身が、会社の変遷の中で実感してきたことだ。「底辺から言語に対するモチベーションをあげることで、人材育成を図っていきたい」と語る。
 ジェトロのビジネステストを受験し、証書を持参した社員に報奨金を払う方向で案を練り、近々、役員会で決定する見込み。
 「J4」が六百レアル、「J3」が千二百レアル、「J2」が千八百レアル、「J1・J1プラス」が三千レアル。給与が千五百レアル以下の社員に対して、授業料半額を補助する。
 レベルが上がっていけば、毎年報奨金の受給が可能。景山取締役は「結果を出せば、それにきちんと報いる」と力を込める。四~五年前から会社が認めれば、語学学校の授業料も半額援助しており、外国語能力に重きを置いているようだ。
 英語・スペイン語についても、同様に報奨金制度を設置。千二百レアル~千八百レアルの一時金を支給する。「自己啓発をする機会になれば」と同取締役。
 本社は十年後に、世界シェアの四〇%獲得を目指した目標を打ち出している。ブラジルも本社とタイアップして、人材育成を強化させていきたいところ。
 今後三カ年で、毎年四~五人の研修生を日本に送り出し、企業の理念から、作業のあり方まで学習してきてもらう。その前提として、日本語能力は欠かせない。影山取締役は「『aqui Brasil』という考えでなく、NGK全体の価値観を勉強して、持ち帰ってきてほしい」と話している。

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