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スザノ日伯学園=生徒増え、新校舎建設へ=充実した運動設備が魅力=日語授業は毎日1時間半も

2006年4月21日(金)

 「いただきまーす」「ごちそうさまーっ」。子どもたちの元気な声が真新しい教室に響く。二月から始まったばかりの、サンパウロ市近郊にあるスザノ日伯学園(=CENIBAS、安楽島田ケイコ校長)では、三割の非日系生徒を引き受けつつ、日本語・日本文化にこだわりながら順調に生徒を増やしている。
 二月の開校当初は四十人しかいなかったが、口コミで評判を呼び、毎週転校生があらわれ、二十日現在で約九十五人に増えた。
 運営母体の汎スザノ文化体育農事協会(アセアス日系)、上野ジョルジ理事長は「最初は本当に集まるのか心細くて、みんな心配してました」と振り返る。今では「計画を前倒しして、来年までに新校舎を建築する予定です」と嬉しそうに語った。
 九〇年代後半、一世中心の役員から二世らに引き継がれ、新役員らが「日伯学園」建設を目指し、ヤキソバ大会などをして資金を集めて建設を進めてきた。
 生徒の四〇%が純血日系人、三〇%が混血日系人、のこりの三〇%は非日系人だ。日本語授業は毎日午後に一時間半ずつ。「非日系を含めて九九%が受講しています」と上野理事長自身が驚く関心の高さを示しているという。教師十六人中、三人が日本語教師だ。
 現在は一年生から六年生までいる。教室六部屋に加え、コンピューター室、図書室もある。新教育法によれば、義務教育課程を日本と同じ九年間に三年間で変えなくてはならない。
 「来年までには、少なくともあと二クラス増やして八年生までそろえたい」という。「資金次第だが」と前置きしながら、「新校舎を建築して教室を増やしたい」と嬉しい悲鳴をあげる状態だ。
 学費は午前七時から昼までが基本料金で、月二百五十レアル(アセアス会員)。親が会員でない場合は三百レアルだが、「会員になった方が得だからほとんどが入ってくれる」という。この中に日本語授業も含まれる。
 二百七十五レアル払えば午後五時まで預かってくれ、全課外授業に参加できる。午前中に通常カリキュラムを教え、昼食後から日本語やソロバン、宿題、コンピューター、スポーツの時間だ。自由参加で和太鼓もある。「今後は、野球や習字なども教えたい」との希望を持っている。
 「町中の学校だと広い運動場がないので、ここのプール、体育館、テニスコート、運動場などを気に入ってくれたようです」という。校舎こそ新築したが、運動設備は元々あったものが、そのまま学校に活かされている。
 昼食は、アセアス婦人部有志が交代で作っている。毎日違うメニューで、日本食もあるという。東ルイス元理事長も「学校の昼ご飯を食べるようになってから、家ではお菓子しか食べなかった子どもがちゃんと食べるようになったという父兄もいました」という。
 学校が順調運営すれば、年々アセアス会員も増加する。協会建て直しの長期戦略として準備してきた同校は、地方版の百周年記念事業の先鞭としても注目を浴びている。

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