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コラム 樹海

 絶対的だと信じられた「説」に異説が出てくるのは面白い。石油は、大昔の動物や植物が堆積して生成された、というのは、覆らない説だと思われてきた。これを石油の有機起源説という。対して、十九世紀に発表された説の中に無機起源説があった。しかし、こっちの方は長い間葬られた形だった。それが、息を吹き返してきたらどうか。原油高の近年、聞き捨てにはできない……▼無機起源説は、地球の深層にある炭化水素が地表に出てきた、というものである。これが正しければ、将来いくらでも生成される。石油資源有限説に?がつく▼米国のイラク政策も変更され、イラクに平和がもたらされるかもしれないし、ロシアやイランとの関係もそんなに剣呑にならないだろうと思われる▼さて、有機に対する無機の反証である。いくつかある。有機物の埋蔵が少ないとされ、原油が生成されない深層(七千九百メートル)から生産される例がある、有機物が堆積するはずがない地盤上に油田があることがある、これは地下から上がってきたのだ、さきにテンペル彗星にNASAが人工物体を打ち込んだところ、炭化水素も見出された。原油の主成分の炭化水素は地球特有のものではない、つまり、有機物が無くても炭化水素はある、などだ▼無機説をとれば、地球深部で今も石油はつくられていることになり、門外漢でも興奮する。探索法も改善されるというので、案外、ブラジルの砂漠地帯の地下からも油が発見できるのではないか、と。(神)

06/04/28

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