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休みの前は産院が混む?

 昨年のサンパウロ市の産院5軒での統計によれば、連休直前は産院が混み、連休中は産院がすくとの記事が29日付フォーリャ紙に載った。ブラジルは帝王切開が圧倒的に多いが、先の現象は、帝王切開で産む事で自然分娩では不可能な連休前の出産という選択をする人が多い事を示す▼帝王切開は出産の日付を選ぶ事が出来るため、便利といえば便利だが、それに伴うリスクがある事を充分に認知していない例も多々ある▼フォーリャ紙が挙げた例では、ある女性企業家が昨年のパスコアの前の木曜日に産むと決めて手続きを行ったが、生まれた子供は8日間、集中治療室に入院が必要だった。自然分娩の場合、陣痛を繰り返す事で水で埋まっている胎児の肺が準備され、誕生と同時に肺呼吸が可能となるが、この女性の子供は、陣痛を経ずに帝王切開で生まれたために自力呼吸が出来ず、酸素吸入が必要だったという▼この女性は自分の都合で子供の生まれる日を決めた事を後悔していたが、出産の過程では陣痛の波の間に母親と胎児の双方で様々な準備が進む事を改めて知った。日本語の「腹を痛めた子供」という表現には、肉体的な意味と共に精神的な意味での繋がりも含まれているのだろうとも考えさせられる▼もちろん、帝王切開で出産した人の全てが自分の都合で手術の日を選ぶわけではなく、母親や胎児の状態故にそうせざるを得ない場合もある。帝王切開で産まれた子供には情緒面で問題が生じる可能性ありという人もいるようだが、自然分娩であっても様々な軋轢を経る家庭もある。各々の選択をとやかく言う権利はないが、W杯期間中も母子共に健康な出産をと願わされる記事だった。(み)

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