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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2010年2月12日付け

 カーニバルといえば「裸の美女が踊り狂う」との先入観が強いかもしれないが、実は1年がかりで綿密に練習された〃行進するオペラ〃といえる伝統芸能だ。打楽器隊の強烈なリズムに合わせて、パレード参加者全員がテーマ曲を合唱し、観客席と一体になって盛り上げる様は、集団陶酔の儀式を思わせる▼サンパウロ市の頂点グルッポ・エスペシャルは金、土曜晩にパレードする計14チームだが、その下にはアセッソが8チーム、G1が12チーム、G2が12チーム、G3が13チーム、一番下のG4が10チームで、公式参加するチームだけで68もある▼これ以外に趣味のチームもあり、全部で100チーム以上あり、参加者総数なら数万人規模といえる。サンボードロモでパレードできるのは、そのうちの頂点というか、氷山の一角だ。大半は、その晩だけ大通りを仕切って作る仮設会場を行進する▼立派なパレードをするために、前年の8月ごろにテーマ曲の選出コンクール、9月から打楽器隊を入れた練習を毎週重ね、衣装や山車を作り、1月からはサンバ会場でのパレード練習も始まり、週2~3回も集まる▼そうして準備されたパレードがこの週末に披露される。各カテゴリーの上位チームが、上のカテゴリーの下位チームと入れ替わるから真剣だ。衣装、協調性、山車、打楽器隊、テーマ、曲などの約10項目が審査員によって厳しく評価される▼このようなサンバ・チームは、貧困層の子供たちを集めて麻薬や犯罪組織から遠ざけ、集団に献身することの尊さ、規律や役割分担などを教える重要な役割を担っている。サンバは「裸踊り」でなく文化だ。(深)

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