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涙あり笑いあり―――――琉球民謡協会ブラジル支部=30周年記念式典・祝賀公演

2006年5月12日(金)

 琉球民謡協会ブラジル支部の創立三十周年記念式典と記念祝賀公演が七日、午後一時過ぎ沖縄県人会大サロンで開催された。
 まず、先亡者へ黙祷を捧げた後、琉球民謡協会ブラジル支部の仲村渠清徳支部長が開会のあいさつをした。日伯両語で「沖縄の島唄が未来へ歌いつがれていくことを願っております」との期待を語り、その中で亡くなった師匠、与那嶺清吉(六、八、十代目支部長)さんの功労を回想すると涙がとまらなくなり、会場からももらい泣きする声がもれた。
 次に与儀哲雄実行委員長があいさつ、母県の琉球民謡協会会長(上原正雄会長)からの祝辞を城間清政さんが代読した。続いてブラジル沖縄県人会の与儀昭雄会長ら来賓が祝辞をのべ、功労者に記念品や表彰状が贈呈され、あたたかい拍手が会場に響いた。
 次に教師免許状授与が行われ、新たに仲村渠幸枝さんが教師になった。閉会の言葉を副実行委員長、知花盛考さんが宣言し、式典が終了。記念公演にうつった。
 幕開けは琉球民謡協会会員古典愛好者一同による合同演奏(かぎやで風節、ごえん節、松竹梅)、次に民謡会員による合同演奏(祝節、豊節、目出度い節)が行われた。特に民謡会員の合同演奏では、若手らがステージの下にまで整列する演出で、来場者の度肝を抜いた。
 続いて各地方支部民謡会の演目となり先頭を切ったのはパトリアルカ支部、続いてビラ・カロン支部、グァルーリョス支部、カンポ・リンポ支部、サンタマリア支部、アララクアラ支部がそれぞれ演奏した。
 来場者がどんどん増える中、会員らは次々に舞踊、民謡カラオケなど自慢のワザを披露し感動を誘った。
 中でも、昨年十一月十日の「ウチナー芝居」のミニ版ともいえそうな劇「芋の時代」を上原盛幸、知念直義、真栄城千代子、仲村渠清徳らの四氏が一〇〇%ウチナーグチで演じ、来場者から笑いと涙を誘った。最後には来場者全員に「芋の時代」にちなんだサツマイモが手渡され、会場は最後まで歓声につつまれた。
 楽しい演目が続く中、最後の演目で雰囲気がガラッと変った。仲村渠支部長の口から、おもむろに「これから歌う民謡は、亡き師匠のために一生懸命心を込めて歌います」との言葉が語られると、会場の空気は一気に張り詰めた。
 支部長らは、故与那嶺清吉がブラジルで作詞作曲した「忘ららん想い」と「サンパウロ小唄」をたっぷりと熱唱。「今日、この民謡協会があるのは師匠の清吉さんのおかげです。与那嶺先生本当にありがとうございました」と偲んだ。
 最後は、にぎやかにカチャーシで節目の日の幕を閉じた。

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