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ようやく「一歩」踏み出す=百周年記念協会日本へ5億円超を要請=箱物以外の主要事業決議=免税新団体設立へ

2006年7月11日(火)

 まずは箱物四事業以外の主催事業を中心に日本政府に正式な資金協力申請をすることが、八日午前、ブラジル日本移民百周年記念協会(上原幸啓理事長)の定例理事会で決議された。その他、財務委員長選任が報告され、寄付金を受け取るための新しい免税団体を主要五団体で立ち上げることなどが申し合わされた。積年の課題だった、集金責任者選びと受け皿整備が始まったことで、上原理事長は「一歩を踏み出した」と総括した。
 出席したのは、副理事長の二十一団体代表者や記念協会委員、文協評議員会の百周年委員会代表者ら約四十人。ミナス州、ノロエステ連合、モジなどからも参加した。本来は二カ月に一度だが、今回は三月以来、四カ月ぶりだった。
 総額七十億円という巨額さから財務委員長の選任が遅れに遅れていたが、中矢レナート氏(サクラ中矢アリメントス社長)の就任が正式に発表された。
 中心議題の一つとして、免税特権をもつ新団体を設立する提案が執行部からなされた。現記念協会には免税恩典がなく、スダメリス銀行CAPSなどから百周年を支援する資金が寄付されても、三〇%が所得税などで引かれてしまう。
 現記念協会を変えるのではなく、免税の新団体を発足させ、その口座に集金することで寄付金をそっくり活かすようにする。
 すぐに募金をはじめる必要から、まずは主要五団体(文協、県連、援協、商議所、日文連)で発足、順次、加盟団体を増やす。書類を集めて政府に申請した後、早ければ一カ月間ほどで承認される予定。
 もう一つの主要議題は、日伯両政府機関の来年度予算編成に間に合わせ、主要事業を選び、支援要請額を明らかにすること。日本の予算編成が七月末に終わるため、それまでに申請しないと来年度の予算に入らない事情を受けてのもの。
 理事会で承認されたのは以下の十二事業。
《1》ブラジリア式典(予算一万五千ドル=現地全額)、《2》サンパウロ式典と祭典(六百五十万ドル=現地八〇%、日本など外国二〇%)、《3》リオ、ベロオリゾンテなど他式典(現地全額)、《4》友情のたいまつリレー(五万ドル=折半)、《5》日本文化祭り(百五十万ドル=現地七〇%、日本三〇%)、《6》顕彰(五万ドル=現地全額)、《7》日系人口実態調査(四百万ドル=折半)、《8》記念書籍発行(五万ドル=現地七〇%、日本三〇%)、《9》在日の日系子弟教育関連(二十万ドル=現地三〇%、日本七〇%)、《10》移民の口承記録(二〇万ドル=折半)、《11》移民百周年記念映像作品製作(百八十万ドル=折半)、《12》セミナー/シンポジウム(五万五千ドル=現地七〇%、日本三〇%)。
 十二事業の総額で千四百四十七万ドル(約十六億五千万円)。うち日本に期待しているのは約四百九十五万ドル(約五億六千万円)となっている。
 記念協会では箱物優先で議論しているが、日本外務省は箱物への資金協力は難しいと再三表明している。今回の要請内容に箱物四事業も含まれるが、別表になり「引き続き検討を進める」との但し書きが付くという。
 日本の予算編成が七月末で、来年度から支援をもらうためには、今月中に正式申請しておく必要があるため、今回は箱物以外を中心に申請することとなった。
 大浦文雄総務副委員長から箱物四事業を絞り込む提案があったが、選ぶ方向での議論は行われなかった。
 文協の尾崎守評議員は「各地の移住地で埋もれている功労者を調査発掘して、百周年の機会にオメナージェンしてほしい」と要請、さらに二世中心の会議(議事の九割がポ語)の現状に対し、「もっとこの会議に一世を呼んでください」と現状に釘を刺した。
 最後に各地方の百周年関連事業の進み具合が報告されたあと、上原理事長は「何ごとも全員一致は難しい。でも、今日は大きな前進があった」と総括した。

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