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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2006年7月25日付け

 小泉首相の退陣が近づき後継者争いがマスコミを賑わせているが、どうやら安倍晋三官房長官への流れが強まった。最大のライバルとされる福田康夫氏が九月の総裁選挙に出馬しないと森元首相に伝え、安倍支持を打ち出したのだから―安倍氏にとっては向かうところ敵なしである。勿論、麻生外相と谷垣財務相も出馬の意向だけれども、支持率は低い▼福田氏は靖国参拝や対中外交などで小泉首相とは異なり、新しいアジア外交を展開させたいの考え方がある。この点で小泉路線の原則と方針を継承する安倍官房長官と違いは大きい。首相の靖国参拝に対しては中国と韓国が猛反発し、内政干渉とまで批判されるような言動も多く厄介な「外交」になっている。これが原因になり日中首脳会談も開かれていないけれども、これは「靖国と外交はまったく別のもの」という小泉首相の主張が正しい▼戦争で亡くなった人々の霊を祀るのを靖国神社ではなく、新しい施設を造るという福田氏らの案を支持する政治家もいるが、国民の大多数は反対だし靖国神社で大いに結構なのがみんなの意見であり考え方であろう。安倍氏は拉致問題での北朝鮮制裁論などでタカ派のレッテルを張られがちだが、こうした大胆な発言が云いだせなかった旧来の政界がおかしい▼安倍氏の支持者が若い人に多いというのもいい。55歳が若いというのは日本の政界が老いているからであって世界的には決して若くはない。今や政治も内政だけではなく、外交が重い意味を持つようになっている。そのためにも知力と若い体力がないと国際政治から取り残される危険もある。  (遯)

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