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08年3月まで日本の支援なし=百周年協会=来年の予算に間に合わず=求められる協会の計画性=現実的計画に練り直しへ

ニッケイ新聞 2006年8月11日付け

 二〇〇八年の三月まで日本政府から百周年に対して予算が下りないことが、三日に行われたブラジル日本移民百周年記念協会(上原幸啓理事長)の執行委員会で明確になった。〇七年から〇八年三月までに行う事前イベントは、基本的にブラジル側で資金を用意せざるをえない状況になり、同協会の計画性のなさが露呈された格好だ。来年六月いっぱいといわれる〇八年度予算編成に向け、現実的な事業計画に練り直すことが求められているようだ。
 七月八日に行われた記念協会理事会で、箱モノ以外の主要十二事業が決議され、五億六千万円超の支援を要請することが明らかにされた(本紙七月十一日付け)。総額七十億円もの巨額予算だったため、とりあえず、それ以外で重要なものに絞って、日本政府の〇七年度予算に間に合うように早急に提案するはずだった。
 通常、日本政府に資金支援を要請する場合、その事業の必要性と、予算が導き出された根拠を説明する書類を添付することが必要になる。
 ところが、その時点で決議された十二事業は、吉岡黎明総務委員長が作った紙一枚だった。その表には、事業名と金額、日本とブラジル側で負担する割合が書かれただけだった。
 会議後、日本語書類担当の事務局アドバイザー、小松雹玄氏や関係委員らが中心になって毎晩のように遅くまで見積もりを集め、日本政府に通用する予算書に仕上げた。関係者の間では「八月初めの提出で間に合う」と言われていたため、今月三日の執行委員会に向けて作成していた。
 ところが、今月三日の同執行委員会に出席した丸橋次郎首席領事は「来年の予算にはもう間に合わない」と明言。夜を徹して予算作成にかかわった関係者からは「がっかりした」との声がもれた。
 さらに九日午後、サンパウロ総領事館で行われた記者懇談会で、西林万寿夫総領事は「八月初めまでで間に合うとは言っていない」と語った。翌年分の予算編成締め切りは「六月いっぱい」が通常であり、七月初めでもギリギリ。八月は完全に無理と説明した。
 これにより、百周年に対して「〇八年一~三月までは出ない」ことが明白になった。ただし、総領事は「シンポジウムやセミナーなどに関しては通常の予算枠の中から協力できるものもあるのでは」と、まったく出なくなった訳ではないとした。
 記念協会は八日午前、総領事館を訪れ、作成した予算書を提出。外務省では当初から一貫して「箱モノは難しい」と言明しているが、提出された分厚い予算書の三分の一は、箱モノの企画書や予算書が占めたという。
 〇七年度の予算には入らなくなったことに関し、吉岡総務委員長は「八月初めで間に合うと聞いていた」と弁明し、「多少遅れたぐらいで何とかなると思っていた」との認識であったことを明らかにした。
 今後に関して「いろんなものを削ってプロジェクトを絞り込み、できるものだけにするよう検討することになっている」とのべた。さらに「来年の分はこっちでお金を集めなくてはならない」と語った。
 六月が予算締め切りなのは毎年のことであり、関係者は承知済み。本番である〇八年度予算に入れるには来年六月が締め切り。総領事館ときちんと打ち合わせする体制を作り直し、それまでに〃現実的な〃予算書を提出することが求められている。

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