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◇コラム オーリャ!


コラム 

 スザノ福博村が入植七十五周年を祝う。戦後急激な発展を遂げたサンパウロ市。都市膨張の波に洗われながら村を守り続けるには、奥地とは違う苦労があったろうと想像する。
 「福博は今も『村』です」、式典案内に訪れた村会の大浦顧問が話していた。「村には『住む』イメージがある」。ここを住処と定めた先人の意志を感じさせる言葉だ。
 先日ある県人会の集まりで、福博出身の男性と話した。八十代。戦前、幼い頃に渡伯した一世だが、「福博が僕の故郷なんですよ」と言い切る。その姿は印象的だった。
 七十五年。一世も、そして二世も老いた。「ここで歴史を締めくくっておくべき」。戦前から現在まで村を見続けてきた大浦さんの言葉に、一つの「ケリ」のつけ方を見るような気がするのだ。
 二十四日の式典、かつて暮らした故郷、また家族や祖父母の住んだ土地を再訪する人はどれだけいるだろうか。(ま)

2006/09/20

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