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デカセギの現状を知る=地域協力者の集いに120人=CIATE

2006年9月22日付け

 国外就労者情報援護センター(CIATE、二宮正人理事長)のセミナー「第三回地域コラボラドーレスの集い」が十六、十七日の両日、サンパウロ市のブルーツリー・パウリスタ・ホテルで実施された。日伯の専門家やデカセギ経験者による「デカセギをめぐる諸問題について」の講演には、約百二十人が参加した。
 以前は、地方でCIATEのデカセギ事情の現状やCIATEの活動を一般に伝えることを目的に活動を行っているコラボラドーレスの研修会として行われていた同セミナ―。一般の人々にもデカセギ問題に対しての理解を深めてもらおうと一般公開されるようになり今回で第三回目の実施となった。
 労働・ビジネス法を専門としている藤川久昭青山学院大法学部助教授や日系人の就労経路の過程を研究する尾崎正利青森中央大学大学院教授などが講演を行った。
 「日本の労働法を知っていれば避けられた問題もあるのでは」と話す藤川助教授は、東京都が実施する労働相談でアドバイザーも務めている。日本において実際に発生する外国人労働者問題にも直接接してきた。
 講演では、「日本における外国人労働者の法的諸問題」をテーマに、労働法の中でも特に重要となる七法(労働基準・労働者災害補償保険・職業安定・労働者派遣・パートタイム労働・男女雇用機会均等・労働組合)の特徴について説明。「日本の労働法のルールは、法律で書かれていることだけではなく裁判所が作り出した『判例法理』が重要な役割を果たす。判例法理は、日本人労働者にとっても複雑だと感じられるもの。特に、外国人の方々は、自分で勝手に判断せずに各種機関、専門家の意見を聞くことが重要」と呼びかけた。
 「日本の製造業における雇用構造の二極分化と外国人受入政策の問題」をテーマに挙げた尾崎教授は、「日本製造業における雇用構造は、派遣会社と請負会社のように二極構造化されてきた。会社は派遣社員よりコストがかからない請負社員を選ぶ」と述べ、「今後、デカセギ雇用が増えブラジルからの労働力が増える可能性がある」とまとめた。
 今年の四月まで滋賀県警で警備・治安を担当していた在聖総領事館の清水俊昭領事も在ブラジル人の生活実態や犯罪の状況などを説明した上で「ブラジルで高いステータスで活躍される日系人の方々が日本でもご活躍されることを願っています」と話した。
 また、地方で地域コラボラドーレスとして働くボランティア四人と歌手の平田ジョーさんが日本でのデカセギの経験を語った。

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