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◇コラム 樹海

 統一選挙で日系人が四人も連邦下院議員に当選した。数からいえば、もっとも多かったころに匹敵する。日系人が百年経てブラジルに根を張った具体的な証拠として喜びたい▼コチア青年二世のワルテルさんは四十歳代の新顔。当選後のあいさつのなかで、「教育」「雇用」の問題解決に意欲をみせた。もちろん、ブラジル国内問題。偶然か、日本におけるデカセギたちの「困難な問題」にぴったり一致していた▼これは、日本の国内問題にもなるわけだが、解決に向けてはブラジル側から強く働きかけなければ、突破口が開けないのである。具体的には、せっかく設けられている日伯議員連盟を通じて、つぎのように主張していただきたい▼「デカセギを日本国内の労働力の〃調節弁〃にしないでほしい。日本人並みに直接雇用すべきだ。直接雇用になれば、厚生年金にも加入できるし、デカセギの生活が安定する。子女の犯罪の歯止めにもなる」▼日伯両国の旧世代の議員たちには、国籍を越えて考え方を共有できる部分が多かったように思う。ブラジル側議員の日本語力が高かったせいもあるだろう。新しい議員たちは連盟の話し合いにおいて、お互いに言うべきことは言い合うことによって、アミザーデを構築していけばよい▼下院議員当選者の「票」が日系人ばかりのものでない、という話は以前からある。それでも当選してしまうと、日系人は「対日本活動」をも期待する。人情というものである。できるだけ応えてほしい。(神)

2006/10/06

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