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◇コラム 樹海

 北朝鮮が「ノドン」「テポドン」に続き地下核実験に踏み切った。国営・中央通信によると「成功」とし、平壌市民は「勇気づけられる」と大喜びらしい。金正日総書記が率いる北朝鮮の無謀さは数限りない。大韓航空機爆破もそうだし、韓国の青瓦台襲撃もある。こうしたテロや武力行使は後を絶たず、ついに「核兵器」までを外交戦術に使い始めた▼この3日には「核実験を実施する」の声明があり日米中韓を始め国際的な非難が続出していた。特に日米の外務次官会談では「8日に実験か」もあったし、決して突然のことではない。だが、中露からも警告があって「まさか地下核実験までは」の望みも―かすかながらあったのも事実である。韓国の 武 大統領の見通しも、甘すぎたの批判は避けられまい。北朝鮮は「なんでもあり」のお国柄なのである▼国民の餓死が多いとか政治犯を収容する監獄国家の評や情報閉鎖社会の呼び名もある。食糧不足に陥れば国際的な救援を求め日本も大量のコメを贈り支援もしている。こんな国民飢餓の苦境にありながらも軍事強化には最大の努力を払う。ミサイル開発や原爆への執念も、軍備偏重の現れと見ていい。民が飢えても銃と弾は―▼ここまで来ると、もう国家としての機能はなくなった―とすら考えてしまう。この核実験で6ヵ国協議は崩壊するだろうし、北朝鮮の行き詰まりは想像に難くない。昔からこの国は「瀬戸際政策」ばかりで生き延びてきた印象が強い。けれども、いつまでも自分勝手な外交手法では通用しない。自制の声を無視した地下核実験も、世界的な孤児への歩みであり道なのだ。    (遯)

2006/10/10

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