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巡回診療に新車両を導入=援護協会=日本財団の助成で実現=「安心して遠方回れる」

2006年10月19日付け

 日本財団(笹川陽平会長=東京都所在)から助成を受けて完成したサンパウロ援護協会(酒井清一会長)の巡回診療バスの贈呈式が九日午前、援協福祉センター(仮称)の建設予定地で開かれた。日本から大野修一日本財団常務理事を招いておこなわれ、新車両の門出を祝った。同バスの購入費用は二十一万レアル。その内十七万レアル相当を財団が負担。奥地巡回などの長距離移動に耐えられるように改良されている。関係者は「とても嬉しい。積極的に役立てていきたい」と胸を弾ませている。
 贈呈式で酒井会長は、「日本財団のご好意を受けたのは援護協会だけでなく、ブラジルの日系社会です。十二分に使って、財団の温かい好意に応えたい」と謝辞をのべた。
 大野常務理事は巡回診療の関係者に感謝の気持ちを示した上で、「援護協会がやっていることなら心配ない。どの事業もうまくいっている。有意義なお金の使い方ができ光栄に思っております」と語った。
 この他、神父により交通安全の祈願がなされ、酒井会長から大野常務理事に感謝状が手渡された。
 今回導入された診療バスの購入費用は、車体と内装工事費用を合わせて二十一万五千レアル。そのうち約十七万レアル(八万ドル)を同財団が助成している。
 車体はフォルクスワーゲン製で十人乗り。個別に空調設備を設けるなど、長距離移動に医師たちが疲れないように工夫されている。車のライトも夜間走行用に交換されている。
 これまでの診療バスは一九九九年、国際協力財団の援助を受けて購入したもの。巡回診療班の移動距離は年間二万キロに及び、現時点で十五万キロ以上を走行。老朽化が目立っていた。特に遠方への奥地巡回では、道中で故障するなどして診察日時に影響がでる恐れも続いていたため、新車両の早期導入が望まれていた。
 新しい診療バスはこれから、胃カメラ、超音波、眼科、心電図、血液、尿、便など、検査に必要な道具を積み込み、来月九日からブラジリア方面の巡回診療で初の遠出をする予定。
 同巡回診療班はほぼ毎週末に、サンパウロ州にある近郊の移住地やリオ州、ミナス州、南マ州の国境付近までの日系移住地をまわっている。昨年は八十八の移住地を訪れ、四千四百三十八人を診察。検査数は約二万件で、うち四四%を七十歳以上の人が占めた。地方に暮す日系高齢者にとって、日本語で対応する援協の巡回診療は不可欠なものになっている。
 診療班の根塚弘班長は「これからは故障の心配をせずに、安心して移住地をまわれるのが嬉しい。一年に一度の巡回診療を楽しみしている各移住地の方々のために有効に役立てていきたい」と話している。
 日本財団は競艇の収益金の一部を財源として、幅広い公益活動を推進している助成財団。

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