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「交流年と百周年は一体」=島内憲大使が着任挨拶=21世紀協提言実現に意欲

2006年10月21日付け

 先月二十五日に在ブラジル大使館に着任した島内憲特命全権大使(60、東京)が十九日来社し、日系コロニアに向けあいさつ、百周年や日伯関係についての取材に答えた。なお、二十日には、在聖総領事館で記者会見を行った。21世紀協議会の提言実現に向け意欲を見せ、百周年に関しては、「全力を挙げて取り組んでいきたい」との姿勢を表した。
 島内大使は一九七一年外務省に入省、今回の赴任は在外勤務九回目となる。前任はスペイン大使。
 同省中南米局には十二年勤務、〇三年末には同局長として来伯、「ブラジルには計八回訪問している。心理的には非常に近い国」と親近感を表した。

【百周年に関して】
 日伯交流年に向けた実行委員会の年内立ち上げを示唆し、「国内の体制作りが着実に早くなることを期待したい」としたうえで、「交流年と百周年事業は一体として対応」することを明確にした。
 「箱モノ案件に関しては、難しいということは以前から、一貫している。政府としては、人材、機材供与などで協力したい」とソフト面での対応を強調した。
 「人的交流は両国にとって非常に大事」と交流年に向けた両国間の交流に期待しながら、日本国民に対するブラジル査証発給緩和に関し、「ブラジル内の世論の盛り上がりが欠かせないのでは」と述べるに留まった。
 「現在日伯関係は良好であり、〇八年を機会に更に飛躍することを期待したい」と発言、「在伯各公館と連携し、全力を挙げて取り組んでいきたい。交流年にしても全国規模で祝うべき。各地日系社会の要望も聞いたうえで、可能な限り協力したい」との姿勢を明らかにした。

【デカセギ関連について】
 「(在日外国人社会として)三番目に大きいブラジル人コミュニティーの存在は、両国間の文化交流、懸け橋としてポジティブな存在」との見方を示し、「〃問題〃として捉えるのは正しくない」と前置き。
 日本国内で盛り上がりを見せている犯罪人引渡し条約締結と代理処罰問題にも言及、「日伯政府が協力、キメ細かく対応していくことが大事で、協力体制の枠組みも必要。首脳レベルでも問題意識を共有しており、すでに協議の場を設ける取り組みも始まっている」と話した。
 21世紀協議会の提言内容が今後の施策の指針となるとの考えを示し、「これから検討、実施していく必要がある」と任期中の大きな課題との認識を示した。
 エタノールやデジタルTVの日本方式採用に関しても「すでにレールが敷かれている問題」とし、すでに始まっている動きを軌道に乗せることにも重点を置く考えだ。

【日系コロニアについて】
 今月末に大統領選の決選投票があることなどから、大統領を訪問していないことを明かし、「まずはサンパウロ、日系社会を最優先に考えた」と来社主旨を述べた。同日、イビラプエラ公園の先没者慰霊碑、日本館、ブラジル日本移民史料館を訪れた。
 〇三年に中南米局長として来伯時から二回目となる史料館訪問に関して、「大変厳しい環境のなかで苦労されながらも立派に日系社会を築き上げられた。伯社会からも高い評価を受け、日本に対するポジティブなイメージを作ることに貢献していることに感動した」と感想を述べた。

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