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世界の体操審査員の頂点に=2世の沢里ユミさん=突然の朗報に感激!=スイスの授賞式に招待

2006年10月24日付け

 世界各国の体操連盟の頂点に立つ国際体操連盟(FIG)は先ごろ、沢里ユミさん(57、二世)=サンパウロ市在住=を栄えある最優秀審査員に選んだ。三十一日にスイスのジュネーブで行われる授賞式に招待されており、突然の朗報に、沢里さんは「ここまでできるなんて考えてなかった。本当に感激です」と喜んでいる。
 「メールを開いてみて『これは何?』って思ったの」。九月下旬、コーディネーターをする器械体操専門クラブ「YASHI」の創立十五周年パーティーの当日、沢里さんのもとに一通のEメールが届いた。「こんな賞があるなんて知らなかったのよ」。
 最優秀審査員賞――各オリンピックを区切りにした四年の間で、最も的確な採点を行っていた審査員に対して、FIGが贈る賞だ。体操競技で審査員が行った判断は「一つ一つが評価されている」。競技後のミーティングも含めて、「誰の判断がよかったのか」は記録に残されていく。
 FIGは四年に一度、国際審判講習会を行っている。合格すれば国際審判の資格を与えられ、その上、審査員は一から四のカテゴリーに分けられる。国際審判であるには、毎回合格し続けなければならない。
 昨年行われた審判講習会で沢里さんは、ブラジルでただ一人、最高レベルの「一」の資格を獲得した。
 八〇年に初めて国際審判の資格を得たときから、世界体操選手権大会では十大会以上、シドニー、アテネのオリンピックでも審判を務め、二〇〇一年には、FIGから「名誉審査員」の称号を受けている。
 国際試合があるときには何日か前に現地に入り、各選手の練習を見学。選手の特徴を押さえる。競技の前には審判が集まり、規則を確認。全ての会話は英語で行われるという。
 沢里さんは「世界の体操競技が発達していくのを、いつも一緒に身近で見ていられる。有名選手を自分が審査できる。選手らとも知り合えるし」と国際審判の醍醐味を語る。
 審判として活躍を重ねる傍ら、後継者育成、体操の普及にも力を注いできた。九一年に「YASHI」を創設。設立に携わった五人のイニシャルをとって名づけた。
 「『ヤシ』って日本語にすれば木の名前でしょ。真っ直ぐに大きな幹が伸びて、上のところでパッと開いてる。私たちもそんな風になれればと思うんだけど」。
 YASHIでは約百三十人の選手らが、毎日四時間の練習を行っている。一時は三百人を超える選手を抱えていた。一流選手を輩出してきたジムには所狭しと選手らのトロフィーが並んでいる。コーチは外国からも呼んでいる。「できるようになる喜びを味わってもらえるし、精神を強くするのにもいい」。
 沢里さんは、USPで十八年間教鞭を執り、現在もFMU体育学部、サントアンドレー大学でも体操を教えている。「体操は体を鍛えて健康に過ごすのにいいんですよ」。スイス行きを目前に、沢里さんは選手らの指導に余念がないようだ。

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